みなさーん こんにちは!お元気ですか?
<お客さま新聞—社員のないしょ話 発刊の裏話>
「社員のないしょ話」も〜その4〜となりました。
実は今だから白状しますけど、この新聞は社内で「やるぞー!」と
大々的に始めたものではなかったんです。
ひっそりとこっそりと「お客様にこんなもの出してしまって大丈夫かなあ」と
ヒヤヒヤしながら発刊したのです。
おおかたの社員は賛同してくれましたが、中には「そんなことやってどれだけ儲かるの?」
「そんなに手間かけてご苦労なことだねえ」なんていう声もあったのは事実です。
全く無関心の人もいました。
そんな静かな船出の「お客さま新聞」が今や社内でもかなり認知されてきました。
なぜだかわかりますか?
それは「みなさんからいただいた声」があったからです。
皆さんからいただいた「励まし」、「エール」、「共感」、「喜び」、「苦言」、「要望」などの反応が
社内にひびき始めたのです。
「へえ〜っ、お客様はこのようなことを受け入れてくださるんだ」
「今のデジタルの世の中でもこういうアナログのやり方を人々は好むんだな」
「いつの時代でも、いや今のこの時代だからこそ、心に響ぐ人と人とのつながり″が大切なんだな」と見る目が変わってきたのです。
僕の書いた文章だけ見て「ふ〜ん、それで?」だったのが、
「ほう!すごいじゃない」
となったのは、まぎれもなくみなさんの声のおかげです。
ほんとうにありがとうございました。
僕は皆さんからのファックスやお手紙が届くのがとっても楽しみです。
職場の仲間もそうです。
ニヤニヤしながらみなさんからのお手紙を読んでいます。
これが仕事をやる張り合いになっています。
又、お手紙を頂けないまでも優しく見守って下さる方々がおおぜいいらっしゃることを肌で感じます。
力を与えてくださってありがとうございました。
みなさんに伝えたいこと、思いはまだまだ山ほどありますのでみなさんから「もう送らなくていい」と言われるまで、発行し続けて行きたいと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いします。
<皆さんからいただいた私のイタリアこぼれ話コーナー>
「それでは私のイタリア話をひとつ」と面白いお話を教えて
下さったお客様がいらっしゃいますのでご紹介しましょう!
○フィレンツエの街角で「財布が落ちたぞー」と追いかけてきたタクシーの運転手がいた。リュックサックのチャックが開いて入れてあった財布が落ちたらしい。お礼を渡そうとしたら、「いらない、いらない」と手を振って受け取らなかった。イタリア人の中にもこんないいヤツもいる。(C・I様)
→まさにおっしゃるとおりです。すべてのイタリア人がいいかげんでずるがしこくインチキな人間なわけではありません。
まじめでおとなしい人間、時間や約束を守る人間など色々います。基本的には単純で気のいい親切な(おせっかいな?)国民です。
そこが憎めないところなんです。
○ヴェネツイア空港でローマ行きの飛行機を待っていたところ、他便が霧の為、続々「欠航」の表示だったが、私達の搭乗予定の便だけは「遅延」表示。それが2時間後、突如「出発済み???」の表示へ。
あわててアリタリア航空の事務所へ駆け込んだ。
私 「遅延からいきなり出発済み」とはどういうことか?」
アリタリア 「貴方たちがモニターを見落としたからだ!」
私 「ずっと前からモニターを見ていたが、間違いない、
そっちの表示ミスだ!」
アリタリア 「あなた達は日本人か?このモニターテレビは日本の
パナソニック製だぞ!だから正確で間違いはない!」
結局大喧嘩の末、ヴェネツイアからトリエステまでバスを出させ、そこから飛行機に乗り、半日遅れでローマに到着。面白かったデース(K・S様)
→「ああ言えばこういう」言い訳をするのが一番うまいのはイタリア人だと思います。
「いけしゃあしゃあとよく言うわ」と思うことは日常茶飯事です。
ただし、怒って威圧すると逆ギレしたり、一切何もしなくなるので、根気よく、なだめたりすかしたりしながら妥協点を見出していくーこれがイタリア人とうまくやるコツです。
なかなか難しいですけれど。
イタリア人はとことん相手をやりこめることはしません。どこかに相手に逃げ道を残しておくのがルールです。だから大喧嘩しているように見えて最終的にどこかに結論は落ち着きます。
後も引きません。
また、口げんかは多いですが、日本人みたいに突然キレて、「包丁でグサッ」というようなことも多くはありません。
過去色々な民族に侵略されてきた歴史がある為、周りをうかがいながらの行き残り方を心得ています。立ち回り上手、外交上手です。
<質問コーナー>
N・Eさんからのご質問です。
「イタリアには2回旅行しましたが、素敵なホテルなのにどうしてお風呂のお湯が出なくなるのかが疑問です。いいかげんなイタリアだからでしょうか?
<お答え>
ヨーロッパ人にとってお風呂は体の汚れを洗い流す場です。
日本人のように浴槽にゆったり浸かって温まり、一日の疲れを癒すなんていう感覚はありません。それどころか、自分の垢や汚れのついたお湯の中に体を入れるなんて不潔!というイタリア人すらいます。
イタリア人は、古代ローマ時代から浴場が発達したようにかなりきれい好きな国民なのです。(自分の周りに関してだけですが・・・)
以上の理由から、イタリアの住宅やホテルにはシャワーだけの部屋も多いです。
もともとお湯を張るという習慣が無い為、お湯の使用量が少なく、タンクも小さくお湯も少なめです。そういう設備のホテルへ日本人が行って、全員で一斉にお湯を浴槽にため始めたらすぐにお湯が出なくなってしまいます。次のお湯が沸くまで水になるのです。
最近のホテルは大きなタンクとボイラーと豊富なお湯が整備されているホテルもあるにはありますが、まだまだ全体的にはすぐお水になってしまうホテルが多いんです。
対策としては旅行中はシャワーにする、時間をずらして入るなどするしかないのが実状です。
でもそうは言っても、1日中観光で石畳を歩き疲れた体をゆっくり癒したいと思いますよね。
そんな時のとっておきの疲労回復法をご紹介しましょう!
それはトイレにあるビデ(便座のついていないトイレに似た形のものです。)を使うのです。
イタリアのホテルにはバスタブはなくともビデはほとんど付いています。
使い方ですが、ビデに熱めのお湯を張ります。
そして椅子に座って足をその中に入れるのです。
マッサージしたり、さすったりしてみてください。
するとだんだん体中がポカポカしてきます。これとっても効果ありです。
絶対おすすめ!ぜひ試してみてください。
それでは続いて、今月のイタリア話に参りましょう
「本場のイタリア料理はホントに美味しいのか?」
「なぜイタリアに行きたいと思ったの?」
この問いに対し、ほとんどの人がこう答えるでしょう
「本場のおいしいイタリア料理を食べたいから!」
イタリア料理--スパゲティ、ピッツア(イタリア語ではピザではなくピッツアと言います)、ワイン、デザート、オリーブオイルなどヨーロッパの中でも食材豊富、とりわけ山の幸、海の幸が満載で日本人の好きなお米、麺類を主食とする馴じみやすい料理。
最近日本でもイタリア料理は大人気で、たくさんのイタリア料理店があります。
「さぞかし、本場のイタリア料理は美味しいに違いない」・・・しかし、イタリアツアーに行かれたお客様のお食事に対する評価はなかなか厳しいものなのです。「美味しくない」「口に合わない」「もっと美味しいと思っていた」という声をよくいただきます。
実際はどうなのでしょうか?
○イタリア料理は家庭料理
イタリア料理はそもそも素朴な家庭料理のマンマの味です。
盛り付けも大雑把で大量に作ります。
それをみんなでワイワイいいながら2〜3時間かけて食べます。
今でもそうですが、イタリア人は基本的に"ごはん"は自宅で食べます。
イタリア人は言います。「どんなに美味しいレストランよりも家のマンマのパスタが最高さ!」
○日本にあるイタリア料理は本当のイタリア料理じゃない?
日本に来たことのあるイタリア人が言います。
「日本のイタリア料理はすごく美味しい!」と。
日本に来ているイタリア料理はかなり洗練されています。
お皿も盛りつけも味付けもイタリア料理というよりは繊細なフランス料理に近いものです。
イタリアでも新創作料理(いわゆるヌーベルキュイジーヌ)としてそのようなものを出すお店もありますが、料金はとびきり高いです。
イタリア人すらも一部のお金持ちや特別な記念日におしゃれをしていくようなレストランです。
それ以外の日常的なレストランは大衆食堂のような雰囲気の店が多いです。
○イタリア料理は高い?
イタリア人は基本的に家でごはんを食べると言いました。
マンマの味が一番ということもありますが、イタリアでは外食は高いという事情もあります。先ほどの高級レストランほどではないにしても、外食でパスタ、メイン、ワイン、デザートを頼むと普通のお店でもお昼でも2000円〜3000円はすぐオーバーしてしまいます。
イタリア人の平均月収は十万円〜十五万円程度ですから物価から見ても外食がかなり高いことがお分かりいただけると思います。
現地にいるとわかりますが、イタリア人は食には湯水のようにお金をつぎ込んでいるイメージがありますが、普通のイタリア人の食生活は非常に質素でお金をかけていません。
○ツアー食が美味しくない?
イタリア料理は本来は2〜3時間かけて出来たての料理をじっくり食べるものです。
注文を受けてからパスタを茹で始めますので、出てくるまで時間がかかることも多々あります。でも待たされてもイタリア人は文句一つ言いません。
レストランで友達や恋人や家族とのおしゃべりをしながら楽しんでいるからです。
レストランでの「時間」と「空間」を楽しんでいるんです。
スピーディに次から次へと料理を出されたら、「早く出て行け」と追い出されているような感じがして苦情が出るほどです。
日本人は子供の頃から、「食事中は黙って食べなさい」という教育を受けてきました。
その為、日本人の食事時間は世界中でも短いことで有名です。
例えば、1の皿から2の皿が出てくるまで時間が空いたとした日本人は我慢できません。間が持ちません。イタリア人はみんなおしゃべりですから全く問題ありません。料理が出てこようが出てくまいが、いつまでもしゃべり続けています。
一般的に日本のツアーの行程は忙しいので、効率的に観光地を回る為ということに加え、日本人は待つのが嫌いだからとツアーの食事時間は通常四十五分〜一時間で設定されています。
これをイタリア時間で料理をのんびり出していると時間が足りなくなってしまいます。
そこで日本人のお客様をあまりお待たせしないようにある程度下ごしらえをしたセットメニューで準備できる体制の整ったレストランを使うのがツアー食の一般的な手配のやり方となります。
その為、パスタが今では日本でも有名になったがアルデンテ(固ゆで)でなかったり、バスが渋滞で時間通りに着かなくて、料理が冷えてしまったりすることが起こったりするのです。
格安ツアーの場合、正直仕入れ値をぎりぎりまで削減している面も理由の一つにはあります。
ツアーを無駄なく回る為にはある程度やむをえない面もあると思います。
又、個人客向けに小さいトラットリア(食堂)でその時々にとれる旬の食材で安く提供しているお店も中にはありますが、そういうお店は団体を受け付けてくれなかったりするのです。
旬の素材を大量に安定供給できるお店はなかなかありません。
日本でもそうですよね。本当に地元の人に評判で行列の出来るようなお店は席数も少なく団体客を受け入れるような体制になっていません。
又、商売っ気を出して団体客を受け入れるようと席数を増やしたりすると味が落ちてきたりします。
ツアーである以上、ある程度の制約はしょうがないとは思いますが、そういう美味しいお店の料理を味わう方法が無くはありません。
例えば、雑誌やインターネットで美味しいと評判のお店を見つけてツアー中に行きたいと思われた場合、食事付きでないツアーを選んだり、又はツアー食を放棄して、そこのレストランに行かれることをお奨めします。
添乗員も予約やタクシーの手配など出来る限りお手伝いします。
そういうお店はイタリア語しか通じない場合が多いですが、身ぶり手ぶりでなんとかなるものです。大切なのは「度胸」と「笑顔」と「楽しもうとする気持ち」です。
きっといい思い出になると思いますよ。
「世界中で一番美味しい各国の料理を食べられる街」はどこかと聞かれたら間違いなく「東京」でしょう。
それだけ日本は食に関してレベルが高い国だと思います。
ただし、旅行に行かれた時には、洗練されていなくても、盛りつけが雑であっても味が口に合わなくても、それがその国の料理だと理解することこそが意味あることだと思います。
イタリア人は素材の味を大切にします。化学調味料を極端に嫌います。
日本人は最近でこそ、ヘルシー嗜好で化学調味料を減らす傾向にありますが、化学調味料による「表面的に味をよく見せる」ことに味覚が慣らされています。
以前イタリア人に日本のスナック菓子を食べさせたところ、「あっさりして美味しいけど、なんか人工的な味がするね、私は好きじゃない」と言われました。
僕がイタリアのお菓子を食べると「甘過ぎ、濃過ぎ、素朴過ぎ」と感じました。
人間にとってどちらが本当の味だと言えるのでしょうか?
<イタリアの教育制度について>
M・I様より「イタリアの教育制度について教えて欲しい」という要望をいただきました。
僕は教育は専門ではありませんが、2年間駐在していた時に、現地の人から聞いたことをお話しましょう。
イタリア人の教育はひとことで言えば
「ほめてほめてほめまくる!」です。
言い換えれば「その人間の良い部分を認め、褒め、伸ばす」ということです。
百獣の王のライオンよろしく、子供を千尋の谷に叩き落し、そこから這い上がってくるものだけを育てるーといったやり方の対極にあります。
ほめてほめてほめまくっていると子供は大変な甘えん坊になるか、ごくまれに天才を輩出するかです。
イタリアは「0.1%の天才が99.9%の凡人を引っ張っている国」といわれているそうです。
イタリアといえば?
フェラーリ、セリエA、レオナルドダヴィンチ、ミケランジェロ、プラダ、グッチ、フェラガモ・・・
ファッションしかり、バッグしかり、車しかり、サッカーしかり、芸術家しかりすべて超一流です。
イタリアのマンマは息子に言います
「まあ、ジョバンニ!、あなたの書いた絵はなんて素敵なの?
あなたは天才よ、ブラーヴォ!、素晴らしい!」
毎日こう褒めちぎられているうちに、本人もだんだんその気になり
「俺って天才?」とどんどん自信をつけていきます。
いわゆるイケイケドンドンになるわけです。
(イタリア人は「根性」とか「忍耐」という言葉を知らないんじゃないかと思います)。
そうしているうちに、本人が持つ実力以上の力を発揮するようになる。本人が将来の自分の姿をイメージし、その方向へ突き進んでいくうちに、本当にそうなって夢は現実のものと
なる。これって実はあるのかなあと思います。
イタリア人はいつも自信満々です。
日本に生まれた私たちは「おごるな、偉ぶるな、謙虚に、控えめに、自分をわきまえろ」
という美徳によって育てられてきました。
それはそれですばらしいと思いますし、日本人の誇りでもありますが、もしかすると"周りの目"とか"世間体"とかが邪魔をして本人の持つ可能性をつぶしてしまってるんじゃないかと思います。
イタリアの教育制度ですごくいいなと思うことがあります。
それは「失敗したり、挫折したりしても何度でもやり直しが利く」ということです。
大学進学率は高くはありませんが、大学に入ったらついていくのは大変です。落第や中退も多いです。
ただ、イタリアの良いところは失敗したり、挫折したりしても又そこから再出発が何度でもできるという社会体制になっているということです。
日本だと1度、コースから外れるとそこで落伍者のレッテルを押されてしまいます。
そこから這い上がるのは至難のワザです。
でもイタリアでは本人がやる気さえあれば、何度でも挑戦できます。
これってすばらしいと思いませんか?そういうことを受け入れる社会。
イタリアでは早いうちから進路を決めます。
一旦決めた進路がうまくいかなければ、まったく別の道から再出発することもできます。
本人が受けるストレスやプレッシャーは全然違ってきますよね。
又、教育費も一般的にはかなり安いそうです。子供に学校を卒業させるのは日本ほど大変ではないようです。
ただもちろんいいことばかりではなく、田舎を中心に世襲制のなごりもまだ残っていますし、大学を卒業したからといって就職が安泰とは言えません。
かなり縁故の世界が幅を聞かせています。
「汚職をしていない政治家はひとりもいない」といわれるほど、根本的構造的な問題も多く抱えている別の顔もあります。自殺者も多いです。
決して、楽園ではありませんが、清濁あわせ飲む懐の深さをイタリアは持っていると思います。