イタリアといえば代名詞のように言われるのがストライキ(イタリア語ではショペロ)のあまりの多さです。
日本では春闘交渉の時の戦術として、会社側が要求を受け入れない場合の最後の切り札として用意しますが、実際にはストに突入する前に双方にて妥協点が見出され、合意してストは行われないのが普通です。
ところが、イタリアでは毎日のようにストライキが起こっています。
イタリアの労働者にとってストライキとはなんなのでしょうか?
実際聞いてみたところ...
彼らの答えは「労働者のお祭りのようなもの」でした。
お客さんが困ろうがどうしようがまったくおかまいなし。
自分は仕事しなくて良いから"ラッキー"ってなもんです。
イタリアは労働者の賃金も低く、組合も強く、労働者も主義主張が強いので、
ストライキをやること自体は仕方がないのかもしれません。
ただ、私たち外国人旅行者にとって困らされる最大の点は
ストライキをやるのかやらないのか直前まではっきりしないということです。
例えば、飛行機に関係するストライキの場合、
すべての部署がストライキをするのではなく部分的に行われるのです。
飛行機関係だけでもパイロット、地上職員、空港公団職員、税関、管制塔、などすべて組合が違い、
それが複雑に入り組んでいます。
どの部署が何時から何時までどの便がストをするのかがわからない。
関係者に問い合わせても人によって言うことが違う。
またイタリア人にありがちなことですが、「知らない」なら「知らない」と素直に言えばいいものを、
さも知ってるかのように自信たっぷりに語る。それによって又混乱が起こる。
イタリア人は基本的に親切です。
悪気はありません。
人にものを尋ねられたら、ていねいに一生懸命教えてくれます。
けれど、こんな逸話があります。
結論から言うと、よほど大きなストライキ以外のストは当日にならないとやるのかやらないのかが、
はっきりしないケースがほとんどということです。
有名なポンペイ遺跡などの観光施設やウフィッツイなどの美術館もストライキをする場合があります。
あらかじめやらないならやらないと言ってくれれば代替の手段を講じることもできるのに
当日行ってみなければわからない場合が多々あるので、私たち旅行者は振り回されてしまうのです。
ストライキをして周りにかける迷惑をなんとも思わないという感覚は私たち日本人には理解しにくいですが、イタリア人の根底にはカトリック(キリスト教)の精神があることも理由のひとつかもしれません。
カトリックはこう教えています。
「仕事(就労)は罪だ」と。
飛行機がストをするかもしれないという情報が流れたら、
ツアー中の添乗員は、航空会社とコンタクトをとりながら状況を把握し、
ストが決定したらすぐ別便への振り替えやホテル、バスの手配などを行います。
電話がつながりにくかったり、航空会社のスタッフに逆ギレされたりして添乗員も
大変な苦労を強いられます。
イタリア人は基本的に人懐っこく親切で気持ちの良い国民性を持っていますが、
それは物事がスムーズに行っている時や気持ちに余裕がある時です。
1度トラブルや不具合が生じたときは彼らはパニックに陥ったり流れが完全にストップしてしまい
テコでも動かなくなります。
「そんなこと言われても自分の責任じゃない!」
と一旦開き直ってしまったイタリア人には
「サービス業とは」とか「その横柄な態度はなんだ!」と怒ったところでもう駄目なのです。
相手が落ち着いてくるのをじっと待つしかないのです。
もし旅行中、運悪くストライキに遭ってしまったら、
これも運命だとあきらめてトラブルを楽しむくらいの気持ちでドンと構えていましょう。
その時は大変でも時が過ぎればきっと懐かしい思い出になると思いますよ。