みなさん こんにちは!
おげんきですか?

私は阪急交通社で品質管理の仕事をしています田中慎二と申します。
今回から毎月お送りします「社員のないしょ話」は、いわゆる売り込み目的のセールスレターではありません。
私たち社員ひとりひとりが日々どういう思いで旅をつくっているのか、今後どうしていこうと思っているのか、今までの失敗談や旅行業界の裏事情まで含め、こっそりご紹介していこうというものです。


ご存知のように阪急交通社はお店の数が少なく、新聞や会員誌で旅行のご案内を行っています。
いわゆる旅行の製造通販会社ですね。
問屋さんや小売店さんを通さないで作ったものを直接販売しておりますので、余分な経費がかかっていません。
その分旅行代金を安くできるのが強みでもあるのですが、逆にカウンターなどお客様と直に接する機会が少ない分、「お客様には旅を作っている社員の顔が見えにくい」という弱みもあるように思うのです。

そこで!
「私たちをもっと身近に感じていただきたい」という思いを込めてこの「阪急お客さま新聞」を作りました。
原則月一回お届けする予定です。

内容は広く旅行にかかわるすべての事柄について、社員の個人的な私生活のお話なども織り交ぜ、皆さまにより楽しんでいただける読みものをめざしています。

ちまたによくある、きれいに並べられた美辞麗句や紋切り型の説明書的なものではなく全部、本音でお話いたします。
会社としての公式な発信ではなく、まあ、「へぇ〜っ 阪急交通社にはこんなことを考えている社員もいるんだ」程度に感じていただければうれしい限りです。

ということで、記念すべき第1回目は、私、田中慎二がお話させていただきます。

一九八八年入社で今年十六年目。広島県出身で三十九歳、妻と3三人娘の(八歳、六歳、三歳)の五人家族です。
休日には、東京の下町の街歩きをするのが楽しみです。
入社後、十二年間は「業務渡航」という部署で仕事をしていました。
簡単に言いますと、企業で出張される方々の航空券やホテル、レンタカー、入国ビザの手配をする営業です。
緊急の仕事が多く、残業で毎日夜遅く、空港見送りや出迎えで土日出勤も多い職場でした。
業務渡航は100%手配出来て当然というもので、あまりお客様から評価されにくい地味な仕事です。
が、直接お客様と接する仕事で、混んでいる時期の難しい手配や緊急対応などした時に、「さすが阪急の田中さんだね」とお客様からお褒めの言葉をいただいた時には「この仕事をやっていてよかったなあ」と感じたものです。

業務渡航の仕事をやって十二年経った頃、自分の中で「僕はこのままでいいのか」という思いが沸いてきました。
業務渡航の仕事はひととおりできるようになった。
でもまだまだ自分の知っている旅行業の範囲は狭く、「それ以外の世界も見てみたいし、血が沸き踊るような仕事をしてみたい」
それまではお客様や上司に言われたことを正確に迅速に処理することがすなわち仕事ができる証と思っていましたが、その頃から自分自身で仕事の計画を立て、度胸ためしの飛び込み営業などもやってみました。職場で自己啓発の提案をしたりもしていました。

自分が今後どういう方向に進むべきかが見えていなかった。
自分の中で、もがき苦しんでいた時期です。

ちょうどその頃、イタリア駐在の話が舞いこんできました。赴任期間は2年、しかも単身が条件です。
当時、私には子どもが既に2人いて妻は3人目を妊娠していました。しかし、この願ってもないチャンスに僕は迷わず手を挙げました。
「仕事だけに限らず、自分の人生において必ずもたらされるものがある」と妻や親に自分の思いを熱く語り、了承を得ました。
今思っても当時の妻の心中は不安でいっぱいだったことだと思いますが、これっぽっちも顔には出さず、快く送り出してくれました。

〜イタリア〜
3000年以上の歴史、遺跡の宝庫、陽気なイタリア人、スパゲティーやピッツア、ワインなど華やかなイメージの国。
その一方でいいかげんでスリなども多く、失業率も高い、イタリア人は狡猾で商売上手な1面もあり、ヨーロッパには階級意識が根強く残り、黄色人種のアジア人など眼中にない・・・。

イタリア語も全然しゃべれない私が果たしてイタリアで通用するのか?赴任が決まった後、それまで期待だけだったのが、だんだん不安になってきました。
ローマに到着したのは、二000年十二月二日の十八時三0分。今でもそうですが、夜の空港到着は淋しく心細いものです。
ローマフィウミチーノ空港から街へ向かう車の中から、コロッセオやカラカラ浴場を照らすぼんやりとしたオレンジ色のイルミネーションを見ながら「この異国でうまくやっていけるんだろうか?僕の人生これからどうなるんだろうか・・・」とイタリアに来てしまったことに後悔していた私がいました。

「イタリアは日本のようなわけにはいかないぞ」・「頭をイタリア流に切り替えないとつぶれてしまうぞ」などイタリアで生活することの厳しさを前評判で聞いていたのである程度は覚悟していました。しかし、実際のイタリアはその私の想像をはるかに絶する・・イヤハヤなんともとんでもない国だったのです。

さて私の「ないしょ話」の中心となるのはイタリアでの経験談です。
日本にいてはわからないイタリアの常識、イタリア人の考え方、理不尽な出来事、日本のありがたさ、日本人の勤勉さ、日本の窮屈さ、これを知っておくとイタリア旅行をもっと楽しくできる秘訣、などを織り交ぜながらご紹介していきたいと思います。
イタリア駐在を経験して、私の旅作りへの考え方は180度変わりました。そのあたりもお話していきたいと思っています。

ということで初回は自己紹介を含め長々と書いてきましたので、このへんで終わりです。
えっ?じらさないでイタリアのこと教えろって?
まあまああわてないで、それは次回までのお楽しみということで。
えっ?待てないって?
そうですか、それではこれからお話することの目次だけでもご紹介しましょう。                                              

① ストライキが毎日のように起こるんです
② 時間にいいかげんなイタリア人
③ バスや列車の遅れは当たり前
④ スーツケースのロストバゲージ(荷物未到着)も日常茶飯事
⑤ イタリアのイタリア料理は美味しくない?
⑥ イタリアのバス運転手はほとんどが道を知らないって?    
⑦ 美術館の突然の休館、突然の道路の交通止め
⑧ イタリア人の人間らしい生き方
⑨ イタリア流を理解すれば、イタリア旅行は断然楽しくなる

などをお話していく予定です。おたのしみに!

尚、順序は入れ替わる場合もあります。あらかじめご了承ください。又このお話は以前発行しました
「元イタリア駐在員が語る"パッケージツアーの見方が変わるっ!"」を基に加筆修正したものです。
もちろんその他にも旬のネタを随時ご案内していく予定です。乞うご期待!

つたない文章ですが、最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
それでは、来月又お会いしましょう!