みなさーん!
お元気でしたか?
阪急お客さま新聞編集部の田中です。
私が最近ハマっている小説家がいるんです。
それは横山秀夫さんです。「64」とか「半落ち」とか「クライマーズハイ」でご存じの方も多いと思います。
横山秀夫さんを一口でいえば「警察小説」を多く書かれる方です。他の警察小説と大きく違う点は、主人公がいわゆる私たちがイメージする刑事さんという人たちではなく、むしろ裏方の管理系の人たち(人事や、広報官など)が多いところです。
テーマも殺人事件を推理していくとかではなく、警察手帳30冊が紛失したとか、警察OBが天下り先の退官を渋る理由とか、警察内に怪文書が出回るとか、かなり地味で小説にはしないようなテーマを取り上げていながらも・・・これが読ませるんです!読みだしたら止まらないんです(笑)
それはなぜだろう?と考えてみたら登場人物の「人間」がしっかり描かれているからなんだと思います。うわっつらで安易な今流行りのミステリーではなく、心理描写が秀逸で上質な「人間ドラマ」になっているんです。
強いヒーローではなく、弱く、ずるく、気がちっちゃく、悩み迷い、怯える・・・そんな人間の持つ根底の感情を赤裸々に炙り出します。読む者はそこに共感し心を揺さぶられるのです。物語の終わりはベタベタしておらず、読了感は硬派でややツンデレ(笑)ですが、文章の行間に温かさを感じて救われます。このキレの良さも横山さんの特徴でしょう。元新聞記者だったそうですから、なるほどさすが!ですね。
小説が映画(ドラマ)になったのを観てがっかりするケースが多くありませんか?確かに映画では時間や撮影の制約もあり、小説の世界をすべて表現することは難しいと思いますが、横山さんの作品はそういうがっかり感が少ないように思います。「64」しかり、「臨場」しかり、中でも私は映画「クライマーズハイ」が好きです。ストーリーがしっかりしている骨太の物語だからでしょう。
横山秀夫さんの小説の中で私が好きなのは短編なら「第三の時効」の中の〝沈黙のアリバイ”、「深追い」の中の〝人ごと”、「臨場」の中の〝餞 はなむけ”、長編では、やはり「64」と「クライマーズハイ」ですね。
さて皆さんが好きな小説(家)は何(誰)ですか?
それでは、今月も阪急お客さま新聞でごゆるりとおくつろぎください。
~ ~ ~ ~ 7月号の目次 ~ ~ ~ ~
1.お客さま投稿コーナー : 最近うれしかったこと
2.今月のお話(ほっちゃん):
3.お客さまからの声
4.編集後記
3.お客さまからの声
4.編集後記