2018年6月25日出発ツアー添乗員レポート

※当レポートは現在募集中のツアーと内容が異なる場合がございます。

添乗員／福田 加代子（ふくだ かよこ）

この度は「ゆったり旅するシルクロード2600km」にご参加下さいまして、ありがとうございます。ご参加者7名様と参ります。中国諸王朝の都だった長安こと西安は長らくシルクロードの起点としても機能し、現在は陝西省の省都。かつて西域と呼ばれた新疆ウイグル自治区は中国全土の約1/6（日本17の約4.5倍)に相当し、中国全土の省・自治区の中で最大の面積165万平米を有しています。更にその面積の約1/4は砂漠が占め、これは中国の総砂漠面積の約2/3に相当する広大なエリア。多くの人々がこの難所の砂漠を往来しました。そして甘粛省北西部に位置し、中国と西域を結ぶシルクロードの分岐点のオアシス都市として栄えた町、敦煌を巡ります。10日間どうぞ宜しくお願い致します。

1日目

6月25日/晴/25〜33℃

成田空港より海南航空にて西安まで5時間。定刻の14:55に出発し、西安に18:55に到着しました。入国審査を抜け、出口で陝西省のガイドの馮さんとご対面。今夜は空港に隣接の西安空港大酒店にご宿泊の為、空港内を歩いて移動しホテルにチェックイン。明日からの移動に備えてゆっくりお休み頂きます。ご夕食が物足りない方は空港内のコンビニやレストランをご利用頂きました。

西安空港大酒店

2日目

6月26日/雨/25〜32℃

紀元前221年、秦の統一時の都、咸陽へ。咸陽博物館は明の時代1371年に建立の孔子廟跡を利用し1962年に開館。咸陽が国の都として栄えた秦から漢の時代にかけての歴史的文化財、約5000点を所蔵しています。シルクロード起点群像でその昔に思いを馳せ、長らく都を守ってきた西の城門へ。興慶宮公園には遣唐使として都の長安(現・西安)に留学、その後科挙試験に合格し、帰国する事なく生涯を終えた阿倍仲麻呂の碑が。創建582年、弘法大師・空海ゆかりの青龍寺は1980年代の調査で復興された際、四国八十八ケ所の０番札所として名付けられました。高さ64m、大慈恩寺の境内に建つ大雁塔は、652年、唐の高僧玄奘三蔵がシルクロードを経てインドから持ち帰った経典や仏像を保管する為に建てられました。西安から新疆ウイグル自治区の省都・烏魯木斉(ウルムチ)へのフライトは天候不良で1時間半遅れ。ホテル着は深夜2:00過ぎ、皆様お疲れ様でした！

シルクロード起点群像

大雁塔

3日目

6月27日/曇時々晴/25〜32℃

昨日深夜着となった為、予定を遅らせ11:00にホテルを出発。まずは市内中心部の新疆ウイグル自治区博物館へ。新疆の歴史や周辺からの出土品、そして多民族地域新疆の人々の生活の様子を紹介しています。この博物館の一番人気は3800年前のミイラ。中でも「楼蘭の美女」なる女性のミイラは世界的にも大変有名！各地に出張中でせっかく来たのにお目にかかれない日もあります。昼食後は約1時間半ほど車を走らせ天山天池風景区へ。天池はかつて女王の西王母が帰らぬ恋人を思って流した涙でできたという伝説の湖。(面積4.9km2、平均水位45m、標高1910m) 好天のおかげで5445mのボゴダ峰もくっきり！遊覧船でのんびり天池を一周し、カートやシャトルバスを乗り継いで麓のビジターセンターへと戻りました。

楼蘭の美女

天池

4日目

6月28日/晴/28〜43℃

ウルムチから吐魯蕃(トルファン)へ、荒涼としたゴビ砂漠を走ります。ウルムチは世界で最も海から遠い町として知られ、またトルファンは海抜60mの盆地の為、年間を通して気温が高いことから火州と呼ばれています。トルファンの東部に98kmに渡って伸びる砂岩の丘陵は西遊記にも登場した火焔山。その中腹に位置するベゼクリク千仏洞はシルクロードを往来する仏教僧侶達が5〜14世紀に作った物。現存する10〜13世紀の77の洞窟内はそれぞれ色鮮やかな仏教壁画で彩られています。外ではウイグルの民族楽器、7弦のラワプを奏でるおじさんが居り雰囲気抜群！約200基のお墓が集まるアスターナ古墳群はその一部が一般公開されています。高昌故城は紀元前1世紀、シルクロードのオアシスとして漢の時代に興り、14世紀にモンゴルの侵入で滅亡した町。最盛期当時の人口は推定37,000人、現在遺るのは9〜12世紀頃の街並みです。

ベゼクリク千仏洞

高昌故城

5日目

6月29日/曇時々晴/28〜40℃

交河故城はその名の通り二つの川が交わる所にできた町。紀元前2世紀〜紀元後14世紀に存在、5世紀以降は高昌の副都市として機能しました。最盛期の人口は約7000人。カレーズは新疆に遺る地下水路の一つ。天山山脈の雪解け水を地下トンネルで運び、冷たすぎる水温を上げる為、町の近くで地表に出て貯水池へと入ります。このカレーズは約2000年前の漢の時代から現在も使われる大事な水路。万里の長城、京杭大運河と並び中国の古代三大土木工事の一つに数えられています。トルファンでは乾燥地帯にも拘らず、天山山脈からの川やカレーズの水を使い、歴史的に果物の栽培が盛んに行われてきました。葡萄溝もその一つ。幅600〜2000m、長さは8kmにも及びます。昼食時は葡萄棚の下でウイグルダンスをお楽しみ頂きました。

交河故城

ウイグル民族舞踊

6日目

6月30日/晴時々曇/28〜37℃

現在中国各地にどんどんと路線を増やしている高速鉄道に乗車。敦煌近くの柳園南駅まで約650kmを3時間半で移動します。今日のランチは車内でのお弁当。各車両には給湯器もあり、お茶やカップラーメンも楽しむ事ができます。日本の新幹線にもぜひ欲しい設備！柳園南駅には無事定刻で到着。5日間一緒だったガイドの陸さんとはここでお別れ...甘粛省のガイド、陳さんにバトンタッチです！柳園駅は敦煌から約130kmの距離。敦煌着後、市内から5km程の鳴沙山と月牙泉へ。ラクダ体験組は約1時間掛けて砂山の景色を堪能。一方カート組は暑さを避けてお茶したり、ゆっくり砂山や月牙泉を眺めたり...砂山の頂上へ果敢に挑んだ方もいらっしゃいました！風もなく穏やかな晴天の1日。鳴沙山が更にキレイに見えました！

鳴沙山

鳴沙山のラクダ

7日目

7月1日/曇/19〜29℃

今回のツアーのハイライトでもある中国三大石窟の一つ、莫高窟終日観光へ。通常半日で終えてしまう観光を1日かけてじっくり観光します。1961年に中国全国重点文物保護単位に、1987年にユネスコの世界文化遺産に登録されています。始めに映画を見て歴史のお勉強。莫高窟は砂漠の高い所にできた石窟の意。鳴沙山の東側の1600mに渡る735の洞窟内に約2600体の仏塑像が安置され、総面積は4.5万平方KMにも及びます。366年に最初の石窟が造られて以降、次々と数を増やし現在壁画や塑像の遺る計492窟のうち、今回皆さんがご覧になったのは331窟、335・6・7窟、16・17窟、390窟、409窟、427窟、428窟、特57窟、午後は特45窟、61・62・63窟、257窟、249窟、244窟、237窟、96窟、特156窟、148窟の計22窟。たくさん歩いた疲れをホテルで癒し、夕食の後は敦煌夜市の散策へ。

莫高窟

莫高窟

8日目

7月2日/曇のち雨/18〜28℃

敦煌より西の玉門関を目指します。玉門関は紀元前111年築。2014年には世界遺産にも登録されています。漢の時代はここが中国の西の国境線。西域の侵攻から国を守る為、約2000人が駐屯していました。そんな国境に近い敦煌は当時から重要な町。人口約4万人を抱え、都の長安に次ぐ規模の町でした。玉門関から約5kmには漢の時代に造られた長城跡が。砂利と葦を重ねて造られた土壁が2000年以上も遺ったのは雨の少ないこの地だからこそ。 敦煌市内に戻って昼食後、空港へ。ガイドの陳さんとはここでお別れ。2時間のフライトで西安に戻り、ガイドの馮さんと再会。夕食へと向かいます。今夜の会場は日本の技法を取り入れた中国風精進料理の天龍宝厳。全て大豆や野菜など植物性の材料で作られています。肉に似せた食感や見た目にも拘り、比較的あっさりとした味付けも人気のお店です。

玉門関

漢代長城と狼煙台

9日目

7月3日/雨/20〜28℃

西安郊外の観光へ。鴻門宴遺址は秦朝末期に覇を競った2人の英雄、劉邦と項羽の物語の舞台となった場所。劉邦を呼び出し宴会の最中に切り殺そうとする項羽と、その企みを察し、劉邦を守ろうと奮闘する部下達との息詰まる攻防で知られています。1987年に世界遺産登録された秦の始皇帝の墳墓とそれを守る為に造られた壮大な兵馬俑坑。これまでに約8000体が確認され、現在も研究調査が続いています。華清池は紀元前から温泉地として知られ、8世紀の唐の時代には玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの舞台として詩人・白居易の「長恨歌」にも歌われました。また1936年12月12日、蒋介石の拉致監禁事件である西安事変の舞台ともなり、その時の弾痕が彼の滞在していた五間廟に残っています。ご夕食では楊貴妃宴をご賞味頂いたりと、盛り沢山の一日でした。明日はいよいよ帰国日となります。

兵馬俑1号坑

跪射俑

10日目

7月4日/曇/20〜℃

飛行機の時間に合わせて早朝5:40にホテルを出発。西安空港より海南航空7927便にて帰国、定刻の13:35に無事に成田空港に到着しました。飛行機や検問などの関係で必ずしもツアーのタイトル通りに「ゆったり...」とした行程とはいかない日もありましたが、皆様に取って、どうか思い出深いシルクロードの旅となっていますように...。広大な国土でたくさんの民族達が長大な歴史を育んできた中国。見所はまだまだいっぱいあります。ぜひまたいつかお出かけ下さい。そして今回の旅が無事に終わったのも、皆様のご協力のおかげです！10日間どうもありがとうございました。

海南航空