大阪/薬の町・道修町「小西家住宅」と適塾
大阪を代表するオフィス街である御堂筋から堺筋までの界隈。
その中でも、道修町(どしょうまち)には昔から薬種問屋が多く集まり
“薬の町”として知られ、薬種問屋から発展し世界に名だたる
大企業となった会社も数多あります。
鉄筋コンクリートのビルが建ち並ぶ町の一角にまるで江戸時代に
タイムスリップしたような趣き深い歴史的建造物建物をご紹介します。
しかも、3棟とも国の重要文化財に指定された貴重な歴史的遺産です。

御堂筋が完成する以前の大阪のメインストリートであった堺筋。
その堺筋と道修町の交差点、旧三越大阪店の南側にひと際目を引く
黒板塀の木造建築があります。“アロンアルファ”や“ボンド”で有名な
接着剤と化成品事業の会社「コニシ」の旧社屋です。
創業は明治3年ですが、江戸時代から小西屋の屋号で薬種問屋を営んでおり
明治時代にはビール・ブランデー・ウイスキー・アルコールなどの製造販売も開始。
ビール事業は現在の「アサヒビール」の前身なんですよ。
その後、飲用アルコール事業からは撤退し接着剤事業を開始。
ボンドやアロンアルファは誰もが知る超有名ブランドです。
旧社名は小西儀助商店でしたが、昭和51年に現社名のコニシに改称。
需要文化財に指定されている旧小西家住宅はアルコール事業で財を成した
明治33年から3年もの歳月をかけて建設された大阪商家の町家。
良質な木材で造られた母屋や重厚な造りの蔵は圧倒的な存在感です。

御堂筋と堺筋の中間、日本生命ビルの隣にある愛珠幼稚園です。
一見すると寺院のようで、どこが幼稚園?と思われますが
正真正銘の幼稚園です。それも大阪市立の幼稚園です。
近代的なビル群が建ち並ぶ場所にまるでエアポケットのような存在。
大阪市立愛珠幼稚園は明治13年に創設、大阪で一番古い(日本では3番目)の幼稚園
愛珠幼稚園の園名は“幼子もまた掌中の珠として愛するという”意味で
幼子が愛されて、すくすくと伸びることを願って命名されました。
校舎は明治34年(1901年)に竣工され、今年で107年ですがまだまだ現役。
3歳」から5歳、約90名の園児たちの成長を温かく見守っています。
残念ながら防犯の関係上、終日木製の堅牢な門でしっかりと閉ざされています。
内部は現役の幼稚園であることから、保護者以外立ち入り禁止で見学はできません。
但し、年1回だけ大阪市教育委員会の主催で一般に公開される機会があります。
昨年は12月8日(土)に実施、公開時は学芸員さんの解説付です。
平成19年には現役の園舎であることが高く評価され重要文化財にも指定されました。

愛珠幼稚園のすぐ隣にある『適塾』です。
適塾は天保9年(1838年)に蘭学者・医者として知られる緒方洪庵が開いた蘭学の私塾です。
弘化2年(1845年)に商家を購入し現在地に移転。
正式名は緒方洪庵の号である「適々斎」から由来した適々斎塾と称します。
適塾は元々、医学・医療を教育する塾でしたが、蘭学(=オランダ)を通じてもたらされる
西洋の最新知識、技術文化、政治制度などが連日講義され、新たな時代の幕開けに
力を尽くした多くの人材を輩出しています。
1万円札の肖像画として、“天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず”の名言
で名高い、慶応義塾の創設者であり、明治の教育者である【福沢諭吉】もこの適塾で
蘭学を学んだひとりです。

館内は見学できるようになっています(有料)ので、早速内部を探索しました。
一歩建物中に入ると、都会の喧騒を忘れさせてくれる静寂さです。
建物内には数々の資料展示と塾生が過ごした部屋を見ることができます。
どこはかとなく維新前後の理想に燃える塾生の息吹が伝わってくる感があります。
道修町の薬種問屋街と適塾は至近距離にあり、医学と医療を学ぶ
塾生にとって、情報収集や資料採集に好都合なロケーションだったに違いありません。
適塾は大阪医学校の開設により教師・塾生とも移籍によりその使命を終えます。
その後、大阪医学校は大阪大学医学部へと発展していったのです。
今の大阪大学医学部のルーツは適塾と言っても過言ではありません。
現在、適塾は『大阪大学適塾』として大阪大学の適塾管理運営委員会の管轄のもと
適塾記念会が保護・管理に当たっています。
開館時間は10時〜16時、入場料は一般250円、学生130円です。
こんな都会のど真ん中に風情あふれる歴史的木造建築が至近距離に
あるのは大阪人にとっては誇るべきことです。
仕事や所用の合間、ちょっと散策がてら訪ねてみるのもいいですね。
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