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ペルー

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パチャカマック遺跡、新博物館オープン!

2012年7月12日付けのペルー現地生情報でご紹介した、リマ南部のルリンに位置する「Pachacamac(パチャカマック遺跡)」。
その遺跡に併設されていた小さな付属博物館が、このほど「Museo de Sitio de Pachacamac(パチャカマック遺跡博物館)」として大きく生まれ変わりました。
2016年2月15日に開館式が行われた新博物館は、打ち放しコンクリートのモダンな造り。
常設展示室と期間展示室のほか、ショップやカフェテリア、考古学的遺物を調査・保護・修復するための研究施設を兼ね揃えた複合施設になっています。
 
 
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パンフレットから拝借した新博物館の全体像。
画像右側が博物館入り口、左側は広場とカフェテリア、手前右下がリマ文化時代の遺跡跡、背景には太平洋が広がっています。
博物館のデザインについては、パチャカマック遺跡の神聖性を損なうことのないよう細心の注意が払われました。
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日本のJICA(国際協力機構)が遺跡の保護、発掘調査、研究のための資材の資金協力や、コミュニティとの関係強化、観光部門の改善のため日本人ボランティアを派遣しています。
そのおかげでしょう、リーフレットはスペイン語版・英語版のほか、日本語版も作成されました。
日本人旅行者にはありがたいですね。
 
 
パチャカマック遺跡は、紀元前200年ごろに興ったリマ文化に端を発します。
紀元400年を過ぎたころ、パチャカマック遺跡内初の建造物である「Complejo de Adobes Lima(リマの日干しレンガ製複合施設)」が造られ、聖地としての歴史が始まりました。
その後600年ごろにこの地を支配したワリによって、パチャカマックは大いなる巡礼の地としてアンデス世界にその名を轟かせるようになります。
ワリに続くイチマも、引き続きパチャカマック神を崇め、神託を仰ぎました。
1470年にはインカの支配下に置かれ、インカの最高神である太陽を崇めることが求められました。
しかし、当時絶対的な力を有していたインカですらパチャカマック神の威光を容易にそぐことはできず、敷地内の最も高い場所に「Templo del Sol(太陽神殿)」を建設することで、なんとかその威信を保ったようです。
スペインによってインカが滅ぼされる1533年まで、1000年以上もの長きに亘って人々の信仰を集め続けた聖地。
パチャカマック遺跡は、ペルー海岸部で最も重要な遺跡の1つなのです。
 
 
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明るく、広々とした博物館の館内。
パチャカマック遺跡全体の歴史や、インカ時代に敷設されたカパック・ニャンなどが、パネルで解説されています。
カパック・ニャンはペルーを含む南米6か国が共同推薦したインカの道路網で、2014年にユネスコの世界遺産に登録されました。
全長6万キロにも及ぶというカパック・ニャンのひとつは、アンティオキア村(2015年5月20日付けのガイド記事でご紹介しています!)からルリン川を通って、真っすぐパチャカマックへと繋がっています。
 
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同館で見逃してはいけないのが、こちら。
「Ídolo de Pachacamac(イドロ・デ・パチャカマック)」、パチャカマック神の御神体です。
ワリ時代のもので、「Templo Pintado(彩色神殿)」、別名「パチャカマック神殿」で発見されました。
長さ234cm、幅22cmという御神体の上部にはパチャカマック神の姿が、その下にはネコ科動物や蛇、トウモロコシなどが彫られています。
歯をむき出しながら人々を睨み付けるパチャカマック神は、夜を司る地震の神として恐れられました。
ちなみに、この御神体の頭がゆれただけで地震が起こると考えられていたそうです。
 
 
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「Puerta(プエルタ/扉)」。
この長方形をした扉は、御神体を祀っていた一番重要な部屋の扉だったと考えられています。
扉の骨組みは2枚の綿布で覆われ、多数のスポンディルス貝で飾られていました。
 
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館内には、パチャカマック遺跡で発掘されたさまざまな土器や織物が展示されています。
また、パチャカマック神殿のそばにある「Cementerio Max Uhle(マックス・ウーレ墓地)」からは、ワリ~インカにかけて埋葬されたミイラが出土しました。
博物館には、死者の顔に被せられていたという木製のマスクも展示されています。
そのほか、リマ、ワリ、イチマ、そしてインカ時代の出土品がそれぞれ時代順に展示されているので、じっくり見て回りましょう。
オーディオビデオや模型を始め、インカ時代のキープ(結縄)やスペイン人による聖地破壊とその略奪について、また遺跡発掘や修復作業についての説明もあります。
 
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博物館を出ると、裏手には博物館付属のスーベニールショップがあります。
関連書籍のほか、地元の女性たちがパチャカマック遺跡でみられる図案を元に制作したバッグや絵はがき、
ペルー伝統工芸の名工フラビアーノ・ゴンザレスさん作の木彫り、御神体の模型やマスクなどオリジナリティ溢れる商品がいっぱい。
地元女性たちのグループ名は「Sisan(シサン)」、ケチュア語で「花が咲く」という意味。
一人ひとりが心を込めて作った作品は、素朴ながらパチャカマックの思い出に相応しい品ばかりです。
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博物館をじっくり見学したら、遺跡巡りの前にここで英気を養いましょう。
カフェテリアでは飲み物のほか、サンドイッチやエンパナーダ、キッシュ、ピザなどの軽食を注文することができます。
 
 
パチャカマック遺跡博物館には、スペイン語・英語ガイドがいます。
ガイドフィーは20ソレス(最大20人まで)、博物館だけでなく遺跡の説明も含まれるのでとてもお得。
館内は写真撮影可(フラッシュは禁止)ですが、パネルへの落書き防止のため筆記用具を使うことは禁じられています。
メモを取りたい方にはちょっと不都合ですが、どうかご理解くださいね。
次回はパチャカマック遺跡内に新しく整備された2つの見学ルートをご紹介しようと思います。
ぜひお楽しみに!
 
 
★Museo de Sitio de Pachacamac/パチャカマック付属博物館★
住所:Antigua Carretera Panamericana Sur Km. 31.5, Distrito de Lurín - Lima
営業時間: 火~土/9:00~17:00、日/9:00~16:00(月曜休み)
入場料:S/10
※チケット販売:火~土/16:30まで、日/15:30まで
 

現地記者:
原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。
ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。
ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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