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オトミ族のテナンゴ刺繍
テイオティワカンのピラミッド観光をした後、観光のお客様が、民芸品のお店を覗いていて、「わー、これ素敵!」と。
手にしていたのがオトミ族の人が作るテナンゴの手刺繍。
鳥や動物や花などが総面いっぱいにカラフルな色んな色を使って作られた手刺繍。
その刺繍の一枚を買って行かれたが、日本へ帰ってから、彼女はお母さんのためにそれで、バックを作ったと言って写真を送ってくださった。
一枚のあのオトミの刺繍の布が本当に素敵なバックに作り変えられました。
私は、オトミの刺繍は素敵だけど、使い用がいまいち??でと思ったけど、なるほどこういう風にバックなどを作るとますます素敵に使える!と思った次第でした。
オトミの人たちの作る刺繍は、一般的に白い木綿の布に図案を描き、その図案の絵の花や植物や動物や鳥や人の形を糸の隙間なく塗りつぶすように、
その部分を一色または何色もの刺繍糸で、一針一針、何ヶ月もの気の遠くなるような時間をかけて、隙間があるのを嫌うかのように布いっぱいに総模様に刺繍を施していったものである。
その刺繍の色は実にカラフルで、いかにもメキシコ的であると言えるかもしれない。
一匹の動物でもそこは何色もの色を使って刺繍が施されてあったりもする。
見ようによっては、絵も子供の絵のようとも。
色使いも、実に普通感覚ではそんな色の使い方はしないだろう風だ。(普通感覚とはいかに?と言われるかもだけど?)
だがそれがまさにメキシコ風で少しも変でなく素敵に映えるとも言えるのかも。
なかなかユニークなデザイン、絵と言えるだらう。
それで、見る眼のある人は見て、やっぱり「良いな!」と思うらしく、かのフランスの高級ブランド、エルメスがそのデザインを買ったというのは有名な話。
(エルメスのスカーフのデザインをした人)
もちろんエルメスは、綿の布の刺繍をそのままスカーフにしているなんってのはありえません。
オトミの絵のモチーフを使っての絹のスカーフです。
エルメスの絹のスカーフはウン万円もする。
エルメスのスカーフは、機械作りで、印刷されたような商品で、一度に何万枚ってできるんだろう。
エルメスは世界的に有名なブランド商品だ。
オトミ族の女性達が作った刺繍は、スカーフくらいの大きさで、せいぜい2千円くらい、大きなサイズでも1万円くらい。
だが、オトミのテナンゴ刺繍は、綿だが、一枚の作品を作り上げるのに、何ヶ月の時間をかけて一針一針刺して作り上げた手作り。
テナンゴ刺繍は、メキシコのイダルゴ州の田舎の村の貧しいオトミの先住民の女性達によって作られたもので、
エルメスがそのデザインを使った事で、オトミの名もちょっと知られたかも??だけど、
ブランド名も製造のメーカーもない、名も知れないオトミの女性達によって、作られた民芸品という商品だ。
私はエルメスのウン万円の絹のスカーフは買えないし、野暮な私向きでもないから買わないけど、オトミのテナンゴの手刺繍は買って、観光の友達のようにバックにするとか、
テーブルセンターにするとか、タペストリーとか、クッションとか、額に入れて絵として飾ってもいいかな?なんって、思う。
エルメスだけでなく、メキシコのブランドPineda Covalínなどもテナンゴ刺繍のデザインを使った商品を売っている。
Mara Hoffman(マラ ホッフマン)と言うアメリカのブランドもやっぱり、下着だか水着のデザインに使っているらしい。
有名ブランドの絹のスカーフや下着もそのオトミのデザインで、なかなかカラフルで楽しいものでいいかもだけど、オリジナルのオトミのテナンゴ刺繍を買って、
いろいろな使い方をしてみるのもとってもいいような気がする。
何ヶ月もかけて作った手刺繍、一つ、一つ、一針、一針、丹精こめて作られたもの。
カラフルで、とっても楽しいデザイン。
この絵のデザインのモチーフなどは、彼らの昔々の祖先が、石に刻んだ絵から、もともとイメージをとっているらしい。そういう岩絵があるそうだ。
いつかその岩絵も見に行ってみたいものだが。
オトミの刺繍も含めて、メキシコの民芸品というのは、みんな手作りで、おじいちゃんおばあちゃんから、父母、そして息子娘へと
代々その技術を受け継ぎ受け継ぎ続いてきたものである。
彼らが一つの作品を作り上げる時間を考えると、本当に、なんて安い!って思う。
時間給いくらになるんだろうか?
中間商人から買う時は値切ってもいいけど、生産者の先住民の人から直接買う時は、値切らないで買ってあげてね。
彼らの生活の糧の商品なんですから。
メキシコシティなどの民芸品市場で買う時など、いくつかのお店で比べて、値段、品物の良し悪しもチェックして買ったらいいと思う。
品物によってやっぱり、人の手作りだから、丁寧に作ってあるのと、そうでもないものがあるようだから。
メキシコに来たら、オトミのテナンゴの刺繍、気に入ったら、是非お買い求めください。きっとメキシコのいい思い出になりますよ。
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サッチー
- メキシコに語学留学後、1977年に渡航。のべ28年間メキシコ生活。現在、観光ガイドの仕事をしている