メキシコシティの公害今昔

メキシコシティはその近郊地区を含めて2千万人に近い人が住む大都会である。
しかも、2230mの高地で、そこが、3000m以上の山に囲まれた大きな盆地の大都市である。
そんな大都会は、もちろん大都会の悩みを抱えているわけである。特に排気ガスの大気汚染の公害問題。
メキシコシティに30年以上住む私であるが、その間、このメキシコシティの大都会の悩みと対峙し、耐え、凌いできた!(大げさな!笑)

メキシコシティ、特に昔は、世界一のスモックの大都会と言う汚名を抱えていたのではないだろうか?
メキシコシティの公害、スモックの原因になるのは、車。車の排気ガスである。
メキシコシティの住人で、車を持っている人々(車を持っている事が中級階級以上であるというステータスもあるようだが)は、交通ラッシュであろうが、
なんのその、地下鉄などの公共交通機関より、マイカーで通勤、子供の学校の送り迎えなどをするのである。
車を持つ人が、平日は特に、いっせいに車を動かす訳だから、只でさえ車が多いメキシコシティで、交通ラッシュは避けられない。
そして、その多くの車は、車が多いだけ、排気ガスだって、多くだす計算だと思う。

それでも、この頃、メキシコシティの公害がよくなっているという印象をもつようになった。
それは、青空、青い空がよく見られるようになったから。特に雨季のこの頃。

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昔、飛行機で、メキシコシティに到着する時、高度にある飛行機が、上は青空が見えるのに、メキシコシティがスモックの灰色の層に覆われ、そのスモックの下へ突っ込んでいくという感じであった。
そして、空港に着くと、ぷーんと排気ガスの臭いを感じた。
昔は、もちろん、有鉛ガソリンが使われていたし。

メキシコシティ、スモックの大都会の汚名をなくすためにそれでも努力してきたか?
メキシコシティは山に囲まれた盆地であるため盆地の外(メキシコシティの外)に排気ガスは流れず、盆地の上にそのまま溜まってしまうという。
昔、そのため、メキシコシティの上の空で、大きな扇風機を回して、排気ガスを外に流したらいいと言った人があったとか?

政府がやってきた公害対策。
公害を出す工場のメキシコシティ外への移転。
車の週一日運転禁止。(ノーカーディ)
このノーカーディ対策は、今でも、もちろん続いている訳だが、これもいろいろあるのだ。
はじめのノーカーディ対策は、全ての車に当てた対策で、ある意味、平等だった訳だ。
ところがお金の余裕のある人は、週一でも車が動かせないのは、大いに困ると言う訳で(お金に余裕がある層は、公共交通機関などに乗った事はもちろんないし、乗る気もない人々であるのだが)、
車をもう一台買い増やし、ノーカーディ対策の対策をやったのだ。
それで、平等ノーカーディ対策の結果は、車が多いメキシコシティの車がますます多くなった。

そして、やはり、排気ガス規制の一環として、車の半年ごとの車検義務。
これは、排気ガスを一定以上排出していないかの検査。これも、今でももちろん続いている対策。
昔は、メキシコシティで、そりゃあ、スクラップされても当たり前というか、骨董品になるというかのような古い車やボロボロ車がいっぱい普通に走っていたのだ。
結構古い車はこの車検に通るのが難しいというのもあるだろう。賄賂が結構通じるメキシコの事だから、抜け道は結構あるだろうが。

そして、その後はその上、車のランク付けがなされた。
ノーカーディ0車、ノーカーディ1日車、ノーカーディ2日車というランク付け。
新車は(大体9年以内くらい)は、排気ガスを出していないから、毎日運転してもよろしい。ノーカーディー0日車。
ノーカーディ一日車は、平日一日車の運転ができない。
ノーカーディ2日車は、普通は平日一日運転できないのだが、汚染状態が悪い状況になると、週2日車の運転ができない。
これは、もちろん新しい車から0,1,2というランクになる訳だ。

そこで、金のない人でも、無理してでも、借金してでも、少しでも新しい車に買い換えようという事になって、古い車は、昔のようにメキシコシティの町で見かける事がすくなくなった。
実に、メキシコシティでは新車が増え、車がよくなったと思う。

メキシコシティの排気ガス規制は、メキシコの第2産業である車産業をバックアップし、貢献してきた感ありだが。

その他、メキシコ市政府は、それなりに公害対策の努力をしているのかもしれない?

排気ガスを出さない自転車奨励。
日曜日のレフォルマ大通りの自転車天国。

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これは、なかなか、人気らしく、多くの人が自転車を持ってレフォルマ大通りに日曜日に出かける。
自転車を車に乗せて、または、地下鉄に乗せてレフォルマどおりまで行く訳だが。

メキシコでは、自転車を日常の交通手段として使うという事はほとんどない、できないという事情もある。

それでも、メキシコ市政府は何とか、日常に自転車使用を奨励しようと、
一時期には、市長みずから、週一、自転車で通勤する、部下にもそれを命令するというデモンストレーションをやって見せた事もあった。もちろん今はやってない。

まあ、日常にチャリンコが、メキシコシティで定着する事は、期待できないでしょう。

マイチャリンは、定着するのは難しいようだが、レンタル自転車は、大人気!
メキシコシティはレンタル自転車をメキシコシティのレフォルマ、セントロ、ローマ地区、コンデッサ地区などでやり、これは、多いに利用されている。
なんせ、年間レンタル料が300ペソほど(2000円ちょっとという)。その名もまさにエコービシ(エコー自転車)。

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マイチャリンのように、駐輪するところの心配、盗まれる心配、故障の心配一切なしで、自転車買うよりよっぽど安いというものなんだから。
この地区の人にとっては、大いに利用価値ありだろう。
できる事なら、このレンタル地区、もっともっとメキシコ全体に広めてもらいたいものだ。そしたら、本当に、公害対策の意味ありだろう。

その他、メキシコシティの中心地区、セントロ周辺では、足ふみ三輪タクシーを走らせていたりします。観光産業を兼ねて。
でも、これが、道路の中央をえっさらさ、えっさらさは、後から走ってゆく車としては。。。。

最近の宣伝では、足ふみタクシーでない電気自動車タクシーも走らせているようだ。まだ数がすくないようで、あまり見かけないけど。

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電気と言えば、公共交通機関はやっぱり地下鉄でしょう。車社会のメキシコシティのマイカーばかり利用者には、使われていないけど。
こんなトロリーバスも走っていたりするのです。何年前の車種?と言われそうだが。

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地下鉄料金3ペソ、バス料金4.5ペソのなか、2ペソ維持ですぞ。

車社会のメキシコシティ、公害対策の結果もありだろうが、車が増えて増えて。。。。車は新しくなったが。
それでは、ラッシュ問題は、解決しないじゃあないか?!
そこで、メキシコシティは、幹線道路の二階建てを建設。
メキシコシティ、それなりに近代都市化しているというか?

車が増え、新車とはいえ、まるっきり排気ガスを出さない訳ではないとおもうけど。。。
人口増加、車増加、これに対抗して公害対策していく事は、大変な事だけど、やってもらわない事には、大げさに言ってみれば、地球の未来のために。

昔のメキシコシティの公害と比べて考えて見たら、この頃は、メキシコシティにも、青空があり、
メキシコシティの外縁の高峰、5000m級の山ポポカテペック山やイスタシーワトル山がよく見える日が多くなったのは嬉しい事だ。

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サッチー

メキシコに語学留学後、1977年に渡航。のべ28年間メキシコ生活。現在、観光ガイドの仕事をしている

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