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スイス

スイス在住の現地記者が各地のお祭りやイベント、ご当地グルメからおもしろスポット、生活のひとコマまでフレッシュな現地の情報をお届けします。

Café Complet(カフェ・コンプレ)って何?

スイスのトラディショナルな夕飯メニュー「Café Complet(カフェ・コンプレ)」の内容や特徴などをご紹介。 

一般的なスイス人にとって、一日の中でのメインの食事はお昼ご飯だ。日本人は(伝統的には)3食温かい食事をとり、夕飯にもきちんと調理した料理を頂くことが多いが、スイス人が日常生活で食べるご飯は、昼食以外は「冷たい」メニューということが珍しくない。冷たいメニューとは言ってもこれは夕飯に冷やし麺的なモノを食べるということではなく、火やオーブンを使わないという意味。もちろん毎晩冷たいメニューという訳ではないが、温かいメニューであっても大麦スープとパンだったり茹でジャガイモとチーズだったりと、基本的にはかなり質素だ。そんなスイス人の、トラディショナルな「冷たい」夕飯の代表に挙げられるのが、今回ご紹介するCafé Complet(カフェ・コンプレ)だ。
 
クラシカルなカフェ・コンプレの内容は、パンにバターとジャム、ミルク入りの温かいコーヒー(あまり濃くないもの)、数種類のチーズ、そしてAufschnitt(アウフシュニット)と称される薄切りのソーセージや生ハムやサラミなどの肉類。野菜のピクルス(小玉ねぎやキュウリなど)が添えられることもある。
 
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(色々な種類のアウフシュニットやチーズはカフェ・コンプレの主役)
 
これにプラスして、Birchermüesli(ビルヒャーミュースリ:オーツ麦を始めとする穀物、挽いたヘーゼルナッツ、荒く擦り下ろしたリンゴ、ドライフルーツ、ベリー類などを牛乳やヨーグルトで和えたシリアル食品)を一緒に食べることもある。
 
 
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(ビルヒャーミュースリは美味しく健康的で腹もちもいい)
 
「…それって朝食の内容じゃないの?」と思われるかもしれないが、スイス人にとってはこれが(いや、これ「も」)立派な夕飯メニュー。詰まる所、スイス人はこの一見朝食メニューに見えるモノを「カフェ・コンプレ」と呼んで夕飯に食べるのだ。
 
私が知る限り、朝食メニューとカフェ・コンプレの一番大きな違いは、肉と卵の有無にある。スイス人は朝食にはゆで卵を食べることがある(目玉焼きは朝食ではなく、ジャガイモ料理「レシュティ」に添えられるもの。スクランブルエッグは恐らく「想像の範囲を超えた卵の調理法」だ)が、夕飯のカフェ・コンプレには卵は登場しない。反対に、カフェ・コンプレにはハムなどの肉類が欠かせないが、朝食に肉を食べることはほぼあり得ない(ホテルに宿泊して朝食を取る場合を除く)。
 
上に挙げたクラシカルなカフェ・コンプレ(ビルヒャーミュースリを除く)は、脂肪が多く野菜類はほぼ皆無で炭水化物も消化吸収が早いなど栄養にかなり偏りがあり、お世辞にもバランスが取れた食事内容とは言い難い。しかし、肉類の量を減らしたりパンの種類を選んだり、新鮮なフルーツや野菜スティックを取り入れたりとアレンジすれば、モダンで健康的なカフェ・コンプレの構築も不可能ではない。
 
 
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(色とりどりの野菜やフルーツが並ぶ食卓は、健康的なだけでなく見た目にも美しい)
 
「カフェ・コンプレ」という名称/呼び名はスイス独特のもので、スイス人以外にはほとんど認知されていない。カフェ・コンプレを提供するレストランやカフェもあることはあるが、カフェ・コンプレはあくまでも一般人が自宅で食べる「お家ご飯」。田舎地方に住む人や中高年層の人たちにとっては特になじみ深いもので、老人ホームなど高齢者施設でもカフェ・コンプレは夕飯の定番かつ人気メニューのひとつになっている。
カフェ・コンプレに使う食材は、日本でも簡単に調達できるものばかり。内容や量、頻度などを考えつつ、トラディショナルなスイスの夕飯を日本のご自宅でも是非お試し頂きたい。

現地記者:
Asami AMMANN-HONDA

スイス東部トゥールガウ州の農村在住。
元書店員、現在は兼業主婦(介護補助士&日本語教師&日独英通訳)。
趣味はスポーツ・園芸・料理、専門は音響映像技術。

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