公開日:
最終更新日:
コーラ味のカエル飴、Cola-Froschli
子供の頃、学校からの帰り道に駄菓子屋に通った経験があるだろうか。私自身、少ない小遣いからひねり出した小銭を握りしめ、あんず棒や粉ジュースなどお世辞にもヘルシーとは言えないお菓子を楽しんだ記憶がある。父や母はあまり喜ばなかったはずだが、友達と一緒に10円・20円のカラフルな駄菓子をこっそりと(!)買い食いしたのは懐かしい思い出だ。
もちろんこれは日本に限った話ではなく、スイスでも子供達は当然駄菓子の買い食いをする。グミやキャラメルなど駄菓子の種類はたくさんあるが、今も昔も一番人気なのはコーラ・フロッシュリCola-Fröschli(訳:「コーラ味の小さいカエル」)という飴だ。
各地の方言によってコキ・フロッシュリCoci-Fröschliとかゴッギ・フロッシュリGoggi-Fröschliなどと呼ばれるこの飴は、1938年にバーゼルのアンドレ・クライン社で誕生した。アンドレ・クライン社は、バーゼルの老舗菓子メーカーとして世界的に有名なレッカリーフースLäckerli Huusの前身に当たる。レッカリーフースはバーゼル銘菓のハチミツ&スパイス入りの美味しいビスケットで知られるが、現在もコーラ・フロッシュリを当時と同じレシピで作り続けている。
このコーラ味のカエル飴誕生のきっかけは、1936年にアメリカから輸入されスイスで販売され始めたコカ・コーラ飲料。販売開始後すぐに大ヒット商品になったコーラの人気にあやかったモノだと言える。
飴の形は、腹ばいになったカエル。多くのデザイン候補案から、特に子供にウケることを狙ったものが採用されたのだそうだ。
飴のサイズは昔のものよりも若干小さくなり、値段も現在は1個15ラッペンになった(当初は5ラッペン)が、味と形は今も昔も全く同じ。私の夫も小学生時代にこのコーラ・フロッシュリをこっそりと楽しんだ経験があるそうで、今回この記事を書くにあたって購入したカエル飴を大変懐かしんで食べていた。
飴のサイズが小さくなったというのはインターネットで関連情報を調べて初めて知ったのだが、今回キオスクで買ったカエル飴をほぼ40年ぶりに見た夫が「...こんなに小さかったっけ?もっと大きかったと思うんだけど...」と即言ったのは面白かった。
このコーラ・フロッシュリは、基本的にキオスクの駄菓子コーナーで透明なプラスチックボックスに入って1個ずつ販売されている。比較的最近になってスーパーマーケットチェーンのミグロMigrosでも140グラム(約25個)入りの袋(1袋2.60スイスフラン)で購入できるようになったが、飴を包んでいる透明フィルムに書かれている「Fröschli」という文字のフォントが個別売りのそれとは若干異なる(ミグロのものはゴシック体に近い)のが特徴だ。
コーラ・フロッシュリはその誕生からもう78年も経つが、現在もその人気が衰える気配はない。21世紀の子供達にはもちろん、子供時代を懐かしく思い出したい大人にも大人気だ。
このカエル飴は、バーゼルにある工場でのみ生産されている。また、スイス国外では入手できないので、正に「スイス・オリジナル」かつ「メイド・イン・スイス」な商品だ。お土産にして喜ばれる...かどうかは判断が難しいが、見かけたら是非一度15ラッペン(約20円)を投資して買い食いしてみて頂きたい。
Rankingスイス記事ランキング
-
Asami AMMANN-HONDA
- スイス東部トゥールガウ州の農村在住。元書店員、現在は兼業主婦(介護補助士&日本語教師&日独英通訳)。趣味はスポーツ・園芸・料理、専門は音響映像技術。