肌で触れる伝統

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スイス

2014年1月11日
カテゴリー:ヨーロッパ | スイス

肌で触れる伝統

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以前にも少しだけ書いたことがあるが、スイスの民族衣装は地域によって大きく異なるので、日本のように「着物」みたいなくくりが出来ない。民族衣装全般のことをドイツ語ではトラハテンTrachtenと呼び、スイス各地のトラハテンの様式や装備は本当に多彩だ。

こちらのウェブリンクは、外アッペンツェル準州のトラハテン組合HP内にあるトラハテンの紹介ハンドブック。外アッペンツェル準州はスイスの中でも最も小さな州のひとつだが、その独特な文化を背景にしたトラハテンの美しさは有名だ。

www.trachtenvereinigung-ar.ch/index.php/trachtenbuch-trachtenstube.html

スイスのトラハテンには平日用、日曜日用、祭日用、結婚式用など色々な種類がある。特に日曜日や祭日用のものはその正式な装備一式がかなり高価(基本的にオーダーメイドの一点モノなのだ)であること、そして着方にもきちんとしたルールや手順があることは日本の着物と同様だ。

 

現在では一般のスイス人がトラハテンを完全装備で着用する機会はあまりなく、トラハテンを着たことがないスイス人もたくさんいる。しかし、センネンヘムドSennenhemdと呼ばれるトラハテンだけは、今も変わらず大変メジャーな存在だ。

センネンヘムドは、そもそもはアルプ(高原)での放牧・酪農業を生業とする男性たちが日常の作業着として着用していたものだ。このアルプ農業従事者たちはセンSennと呼ばれ、彼らが着る(着ていた)ヘムド(独語でシャツのこと)なのでセンネンヘムドと呼ばれるという訳だ。

 

センネンヘムドの中でも特に人気があるのが、布地全体にエーデルワイスの小花モチーフが織り込まれているエーデルワイスヘムドEdelweisshemdと呼ばれるもの。

 

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伝統的なセンネンヘムドは襟なし・半袖・前身ごろの上半分が半開きのボタン留めという仕様だが、現在では上の写真にある長袖バージョンや普通のシャツと同じデザイン(襟付きで、前身ごろの上から下まで全部ボタン留め)のものも普及している。エーデルワイスヘムドのスタンダードカラーは、記事の冒頭写真にある薄水色・もしくはこちらのアンスラサイト(濃いグレー)だ。

 

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男性用のシャツなのに花柄?と思われるかもしれないが、男性がエーデルワイスヘムドを着るのはスイスでは全く普通のこと。何百年も前にセンたちが行った力比べ遊びから発展したらしいというスイスの国技・シュウィンゲン(スイス相撲)でも、屈強な選手たちの半分ほどがこのエーデルワイスヘムドを着用して試合に臨んでいる。

シュウィンゲンの選手は、その出身地や所属によってセンネンシュウィンガー(農村地域出身)とトゥルネンシュウィンガー(都市部出身)の2グループにカテゴライズされる。センネンシュウィンガーは競技服として試合でセンネンヘムド/エーデルワイスヘムドを着る(トゥルネンシュウィンガーは白Tシャツと白ズボンを着用する)ことから、エーデルワイスヘムドはシュウィンガーヘムドSchwingerhemdの呼称もある。

 

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(センネンシュウィンガーとトゥルネンシュウィンガーの試合)

 

今ではエーデルワイスヘムドは男性だけのものではなく、女性の間にも浸透している。色のバリエーションもワインレッドや緑・濃紺・桜色系の薄ピンクなど豊富だ。素材生地はモチーフが「織り」で入っている綿100%のツィル地で、かなり厚手でしっかりとしている(そして暖かい)。

 

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プリント地の布を使ったエーデルワイスヘムドもあるが、やはりその素材の「ペラペラ感」から安っぽい印象を受けるのは仕方がない所かもしれない。

 

エーデルワイスヘムドは基本的に農村地域出身・在住者のシャツなので、都会人はあまり着用しない。都会人としての自尊心はもちろん、農村地域の文化へのレスペクトという感情もあるのだろうと思う。しかしモチーフとしてのエーデルワイスヘムド柄―特に水色地のもの―はあらゆる層のスイス人の心を掴んでいて、シャツ以外の小物アイテム(バッグやポーチ、お財布、ボールペン、手帳、ハンカチなど)は都会人にも人気がある。

 

ベルン州のブリエンツ湖畔にあるバレンベルグ野外博物館Freilichtmuseum Ballenberg(博物館の営業は夏期のみで、冬期は閉鎖しているのでご注意を!)東側出入口の右手側にあるお店では、良質なエーデルワイスヘムドがたくさん揃っている。日本人の男性には水色地のエーデルワイス柄シャツを着るのはちょっと勇気がいるかもしれないが、博物館訪問の際にどんなものか覘いてみてはいかがだろうか。

エーデルワイスヘムドの値段は決して安くない(1万円ぐらいするものもある)が、スイスの伝統の一端を文字通り肌で感じる絶好の機会として、一度実際に手に取って見ていただきたい。

 

 

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現地記者:Asami AMMANN-HONDA
スイス東部トゥールガウ州の農村在住。
元書店員、現在は兼業主婦(日本語教師&日独英通訳)。
趣味はスポーツ・園芸・料理、専門は音響映像技術。
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