スペイン時間がなくなる?日本との生活リズムや食事回数の違い

少し前に"スペイン時間"の変更に関するニュースが流れました。簡潔に言うと、タイムゾーンを変更し、かつスペイン独特の長い昼休み(平均3時間)の習慣をなくすことが議会で前向きに検討されている、という内容。それによって、夜型生活を改め、生産性、競争力の向上を図ることが目的です。

今回はそんなニュースに関連して、スペインの生活リズムや時間の使い方を、日本と比較しながらご紹介いたします。

<目次>

スペインが夜型になった原因

現在スペインでは、中央ヨーロッパ標準時(CET)によって時が刻まれていますが、イベリア半島の隣国、ポルトガルや経度の近いイギリス、地中海を挟んだお向かいのモロッコでは、1時間遅いグリニッジ標準時(GMT)を採択しています。実は、もともとスペインもこのグリニッジ標準時だったものの、1942年に当時のフランコ独裁政権が同盟国だったドイツに合わせて変更したのでした。そしてこの1時間の時差がスペイン夜型生活を作った原因のひとつなのです。

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<経度的に見ると、現在のタイムゾーンが太陽の動きに沿っていないことが一目瞭然>

スペインと日本の日照時間・生活リズムの違い

スペインの日照時間は、日本とはかなり異なります。まず、年間を通して日の出時間が遅い。冬至の前後は朝の8時でも薄暗く、8時出勤の公務員や銀行員、8時スタートの学校に通う子供はまだ暗い中家を出ないといけません。そして夏至の頃は22時近くまで明るく、小さな子供たちも21時過ぎまで外で遊んでいます。夜遅い生活リズムの割に朝は早く、お役所や銀行に勤める人はたいてい朝8時に出社し、幼稚園や学校も9時にスタート。

次に勤務時間ですが、職種によっても異なるものの、標準は9時から14時まで働き、3時間の昼休みをとってからまた17時から20時まで働く、というパターンでしょうか。

お昼は家に帰って家族で食べる習慣があることから、幼稚園や学校も同じようなシステムです。例えば我が子の場合は、朝9時に登校し、学校で給食を食べない場合は一旦12時に帰宅。また15時に学校へ戻って17時まで授業を受けます。ちなみにスペインでは小学校まで送り迎えが必要なので、親は1日4回の送迎をすることに・・・。下校後に友達と遊んだり習い事に通うことを考えると、必然的に食事・就寝時間は遅くなりますね。ほかには9時から14時まで、8時から15時までと昼食なしで終わる学校もありますが、これだと昼食時間が遅くなることがネック。

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<とあるお店の営業時間。上が月~金、下が土曜日。日曜定休>

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<降園後17時半から19時まで行われる5歳児のサッカートレーニング>

1日○食?!スペインは食事の回数も日本より多い!

食事に関しては、一般的にスペイン人は1日5食と言われています。朝はコーヒーとパン類のみか、シリアルのみとごく軽く済ませるため、14~15時のお昼ご飯まではお腹が持ちません。そこで10時半から11時頃に30分ほどボカディージョ(スペイン版バゲットサンド)を食べる休憩があるのです。これは幼稚園や学校でも同様で、子供たちは毎朝アルムエルソと呼ばれる午前の軽食を持って登園・登校します。お昼が遅いのに、17~18時はもうメリエンダ(夕方のおやつ)。さすがに会社でメリエンダ休憩はありませんが、仕事をしながらコーヒーを飲みクッキーをつまんだりします。この時間は下校中の子供たちがボカディージョを食べながら歩く姿をよく見かけます。そして、夕食は21時が標準。レストランのオープンも20時半か21時です。週末の夕食は、22時、22時半になることも珍しくありません。

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<バルでの簡単な朝ごはん>

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<日本だと昼食になりそうな午前の軽食セット。ビールやワインを飲んで職場に戻る人も>

タイムゾーンの変更に伴い労働時間も見直し検討中

このなんでも後ろにずれた時間帯や長い昼休みは、太陽に従った生活をしている所以。それを実感するのが夏。昼休み時間帯にあたる14~17時は暑くて暑くて、冷房が普及していなかった時代は仕事や勉強どころではなかっただろうと想像できます。夜だって、22時近くまで明るいので、食事時間も就寝時間も遅くなるわけです。でもタイムゾーンが1時間遅れれば、その分太陽にあった時間になりますね。

また、タイムゾーンの変更と同時に、標準的な労働時間を世界基準の9時から17時までとすることが検討されています。午前の休憩はなくし、昼休みは短縮。3時間の昼休みをとりダラダラと夜まで勤務するのは効率が悪い、というわけ。実際に既に労働時間の見直しをしたお役所や企業では、電気代の大幅節減や職場事故の減少、生産性の向上が実現できたとか。

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<午前の休憩をテラスでのんびり過ごす人たち>

スペインでは個人商店はたいてい14時から17時は閉まってしまうこともあり、私自身、食事とシエスタ(午睡)のための空白の3時間は無駄な時間と感じていました。労働時間合理化委員会が示す、「40分以下の昼休みとする」ではあまりに短い気がしますが・・。 母親としても、子供の下校時刻が17時から14時に早まればお昼ご飯は遅くなるものの、時間が有効に使え、就寝時間も早くなるのでこの案には賛成です。ただ、スペインの文化とも言える午後の長い休みや夜型生活がなくなってしまうのは、ちょっと寂しい気もします。

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<夜になると俄然テンションが上がるスペイン人>

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