スウェーデン人と教会&お葬式事情

スウェーデンでは日本同様に宗教の自由は法律で定められており、キリスト教、イスラム教、仏教等を始めとした様々な宗教団体が活動をしています。その中でも一番大きな団体はSvenska kyrkan(スヴェンスカ シュル カン)【スウェーデン教会】と呼ばれるルター派キリスト教。スウェーデン国の宗教として国教会の位置づけがされていましたが、2000年に政教分離原則が 適用されてからは非国教化されました。それでも教会員数は多く、2010年の統計によるとスウェーデン全人口の約70%がスウェーデン教会のメンバーとして登録されています。

スウェーデンの町を歩いていると、スウェーデン教会に属している教会の建物をよく見ることがあります。

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黄色に赤の十字のロゴが目印です。

スウェーデン教会のメンバーには毎月kyrkoavgift(シュルコアヴイフト)と呼ばれる教会員費を支払う義務があり、毎月の給料から自動的に引き落とされるようになっています。また、スウェーデンで生まれた新生児の半分がこのスウェーデン教会で洗礼をうけたり、 というと宗教活動に熱心なイメージのあるスウェーデンですが、2007年の調査によると、自ら無神論者だと答えたスウェーデン人は調査国50カ国のうち一番多く、教会員であっても信仰心があるというわけではなく、教会での行事なども文化の一部として認識し行っている人が多いことがわかります。

また、スウェーデン国民の義務としてユニークなのものの一つに、begravningsavgift(ビグラヴニングスアヴイフト)を毎月支払わなくてはいけないと言う事が挙げられます。これは【葬儀】と【費用】を組み合わせた言葉で、ずばり【葬儀費】と訳せるでしょう。 スウェーデン教会員の場合、毎月支払う会員費の中にこの葬儀費が含まれていますが、教会員以外の国民は個別に「葬儀費」を支払う義務が生じ、給料明細を見 ると「葬儀費」が自動的に引かれています。(詳細がなくとも税金として支払われているはずです)ただし、ストックホルム市民とTranås(トラノース)自治体の住民に限っては、教会員であっても自治体へ直接支払う仕組みとなっており、地方税と同じ扱いになります。

毎月の葬儀費用額は所属している教会によって違いますが、国全体の平均では収入の約0.22%。この葬儀費を支払う事により、25年間の墓地代、火葬あるいは埋葬代、(制限範囲内での)移動代、遺体の安置代、葬式会場代等の費用が無料となりますが、毎月個人が払う葬儀費は現在国内で行われている葬儀に使用されるのであって、個別の葬儀費を積み立てている、というわけではありません。あくまでも、国民全体で皆のために費用を負担しましょうという考え方です。 それ以外の費用は自己負担になり、おおよそ18,000‒26,000クローナ(約24‒35万円)程かかるといわれています。

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(町中に見られるお墓もオープンで多くの人が散歩をするような場所に設置されていることも珍しくありません)

また、スウェーデンでは法律で火葬あるいは埋葬は死後2ヶ月以内に行う事と決められているため、日本のように亡くなってからすぐにお通夜やお葬式にする家族は少なく、葬儀社協会では死後11~14日以内に葬儀を行うのが理想だとしています。新聞のdödsannonsen(ドッズアノノンセン)と呼ばれる、故人の家族や友人が出す「逝去しました」というお知らせにお葬式の日程が記載されますが、逝去日から一ヶ月後の日程にお葬式が予定されているという事も珍しくありません。

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(故人のための詩などと共に新聞に掲載されるお知らせ)

スウェーデン国内の町中に見られる教会は一般に無料で開放されているところが多くありますので、興味があれば中に入り、ご覧になってみてください。ただし、行事が行われていることもありますし、お祈りのために教会へ足を運んでいる人もいないわけではありません。写真もフラッシュを禁止しているところが多いと思われます。教会内でのマナーはきちんと守り、静かに見学しましょう。

下記の写真はルンド市にある1100年代からあるルンド大聖堂。毎年70万人もの観光客が訪れる大聖堂です。

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