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イタリア

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ボッティチェリ好き必見のオンニサンティ教会

世界遺産都市フィレンツェには、数え切れないほどの中世の美術品が残っています。
ウフィツィ美術館に所蔵されているボッティチェリの名画「春」「ヴィーナスの誕生」もフィレンツェを代表する作品の一つであり、彼の作品を目当てにこの街を訪れる人も決して少なくはないでしょう。
ウフィツィ美術館でボッティチェリのファンになった方には是非とも訪れて欲しい場所が、すぐ近くにもう一つあります。
 
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オンニサンティ教会はアルノ川に面したオンニサンティ広場の奥にあり、ドゥオモやウフィツィ美術館からもほど近い場所に位置します。他の有名観光地に比べると観光客はめっきり少なく、それでいて有名画家の作品が沢山集まっている穴場的美術スポットでもあります。並ぶこともないので観光のついでにフラっと立ち寄ることもできますよ。
 
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静かな広場から教会内へと入ると、外観からは想像できなかったほど広々とした空間が広がっています。
両側にはギルランダイオの聖ヒエロニムス、ボッティチェリの聖アウグスティヌスといった有名画家のフレスコ画が並んでおり、その美しさと保存状態の良さに思わずハッと息を呑むことでしょう。
 
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奥の主祭壇から左右に道が伸びており、左に向かうと隣の回廊へと出ることができます。
主祭壇左側奥に荘厳に掲げられているのは、ジョットの傑作「キリスト磔刑」です。
離れた場所から見ると、暗闇の中に黄金に輝く神々しい磔図の様子がよくわかります。
 
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外回廊を通って別室へ向かうと、そこにはギルランダイオ作の「最後の晩餐」のフレスコ画があります。
「最後の晩餐」と言えばレオナルド・ダ・ヴィンチ作の物が有名ですが、イエスが裏切り者の存在を告げたドラマティックなこの瞬間は、数々の画家によって繰り返し描かれてきました。
オンニサンティ教会にあるギルランダイオ作の「最後の晩餐」では、裏切り者のユダが1人だけ手前に描かれ、背景の丸窓と教会の壁の形が見事に一体化して視覚的効果を生んでいます。
 
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一端教会の主祭壇に戻って、今度は右側へと進んでいきましょう。
主祭壇右側には、小さいながらも大理石彫刻が美しい祭壇があります。
 
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この祭壇の一部に、メダルのような丸い石が埋め込まれており、小さな籐の籠が置かれています。
そう、ここは「ヴィーナスの誕生」などの名画を生み出したボッティチェリその人のお墓。
彼を愛するファンがメッセージを書いた手紙を置けるよう、お墓の前に籐の籠が置いてあるのです。
ちなみに、彼には憧れと尊敬を抱いていた1人の理想の女性が存在していました。
シモネッタ・ヴェスプッチという名の女性で、人妻でありながら当時フィレンツェで一番の美女と讃えられた若く美しい婦人。
彼女は時の支配者メディチ家を始めフィレンツェ中の人々に愛された絶世の美女でしたが、わずか23歳という若さでこの世を去ってしまいます。
「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスなど、ボッティチェリの作品に登場する美女は、彼女がモデルだと言われています。
当時の男性には自分の作品の女神となる「精神的な恋人」を持つことが流行っており、ボッティチェリにとってはシモネッタこそが創造の女神だったのです。
ボッティチェリは自分が死ぬ時、彼女と同じ場所に埋葬されることを望みました。
現在、2人はオンニサンティ教会の片隅で、共に永遠の眠りについています。
 
ウフィツィ美術館でボッティチェリの名画を鑑賞した後は、是非オンニサンティ教会で、絵のモデルになった美女シモネッタに思いを馳せてみて下さいね。

現地記者:
佐藤 モカ

イタリア・フィレンツェ在住。
作家、フリーライター、各種コーディネートなど。2013年女児出産、現在育児奮闘中。

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