メディチ家礼拝堂

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イタリア

2014年4月14日
カテゴリー:ヨーロッパ | イタリア

メディチ家礼拝堂

見るものがありすぎると言っても過言ではない街、フィレンツェ。
ルネサンス期の芸術や歴史に興味を持つ人なら、何日滞在しても飽きるということがないはずです。
大手の観光ツアーでは、半日でドゥオモを見てヴェッキオ橋を見たらオシマイなんてこともありますが、いやいやこの街の魅力はドゥオモだけではありません。
 
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歴史的にも重要な意味を持ちながら、日本人観光客には素通りされてしまう場所の1つが、メディチ家礼拝堂です。
メディチ家の菩提寺であるサン・ロレンツォ教会の一部なのですが、「新聖具室」と「君主の礼拝堂」と呼ばれる二棟だけ入り口が別になっています。
教会の背後に見えているドーム型の屋根の下に、「君主の礼拝堂」があります。
ここには代々のメディチ家の人々が眠る、お墓が納められています。
 
メディチ家について簡単におさらいしておくと、彼らはルネサンス期のフィレンツェにおいて銀行家として出発し、後に街の実質的な支配者として勢力を奮った一族です。
レオナルド・ダ・ヴィンチやボッティチェリ、フィリッポ・リッピなど、数えきれないほどの芸術家たちをパトロンとして保護し、フィレンツェの最も華やかな時代を築き上げました。
中でも「偉大なるロレンツォ」と呼ばれるロレンツォ・デ・メディチは市民からも絶大な支持を得ており、彼の時代に街は栄華を極めたのです。
ロレンツォは、幼き日の天才彫刻家ミケランジェロの才能を発掘し、育て、最初のパトロンとなった人物でもありました。
 
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小さな入口なので見落とさないよう注意が必要です。
ミケランジェロはこの礼拝堂の中の新聖具室の設計と、内部の墓の装飾彫刻を手がけました。
彼は自らを一流芸術家へと育ててくれたロレンツォへの恩義はもちろん感じていましたが、出自や当時の風潮もあって、街の支配者としてのメディチ家には反感も感じていました。
 
共和制とメディチ家とが争う激動の時代。
様々な政変があり、メディチ家をパトロンに持ちながらも支配者を嫌うミケランジェロは、時代の波に翻弄されます。
彼は共和制派が優勢な時に複数回メディチ家を裏切り、しかしそのたびに「作品を作る」ことと引き換えに許され、結局は権力を取り戻したメディチ家のもとへと帰っていくのです。
あれほどたくましい作品を彫るミケランジェロの中に、信念を捨てて優勢な方に流されしまう情けない面があったなんて、意外ではないでしょうか?
 
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この礼拝堂はそんな時代に、複雑な思いを抱えたミケランジェロが遺した作品なのです。
新聖具室内のウルビーノ公ロレンツォとムヌール公ジュリアーノの棺の上に、ミケランジェロ成熟期の傑作「曙」と「黄昏」、そして「昼」と「夜」というそれぞれ対になった4体の彫像を見ることができます。
完成まで14年。
その間にはメディチ家からの報復を恐れたミケランジェロが、礼拝堂の隠し廊下に潜んで死への恐怖に怯えていた期間も含まれています。
何しろ複数回に渡って共和制へと寝返った彼は、まさに恩を仇で返した罪人。
メディチ家に殺されても文句は言えない身だったのです。
 
冴えない没落貴族の息子だった自分の才能を見出し、育ててくれたロレンツォ・デ・メディチへの感謝の念。
自分の才能を遺憾なく発揮させてもらえる、申し分のないパトロンとしてのメディチ家への恩義。
しかし街を私物化し支配する彼らへの反感。
共和制という、仲間たちと密かに描いた夢。
裏切り、死への恐怖。
言葉にできないこれらの感情を迸る才能に託した4体の彫刻は、後の芸術家たちに多大なる影響を与える傑作となりました。
 
ミケランジェロの苦悩を静かに飲み込んだ君主たちの墓場、メディチ家礼拝堂。
ルネサンス期の歴史に興味がある人はもちろん、アート好きにもぜひ一度足を運んでもらいたいスポットです。
 
 
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現地記者:佐藤 モカ
イタリア・フィレンツェ在住。
作家、フリーライターとして活動する他、トスカーナ個人旅行の手配も行っている。
http://coccolo.jimdo.com/
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