ミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナのアトリエ/オランダ

日本でもお馴染みの「小さなうさこちゃん」ことミッフィー、赤ちゃんの時から知っている方も多いと思います。その生みの親、ディック・ブルーナさんが今年(2017年)の2月16日、故郷ユトレヒトにて逝去されました。享年89歳で、眠りながらの旅立ちだったそうです。

そのニュースを聞いた時には、ミッフィーの新刊はこれからはもう出ないのだなぁ、、、と、とても淋しい思いと共に、50カ国以上に8,500万冊もの絵本を送り出し、世界中の子供達に笑顔をもたらしたブルーナさんの功績に深い尊敬と感謝の気持ちで一杯になりました。

今回のブログ記事では、ブルーナさんの生前を少し振り返るため、ユトレヒトのセントラルミュージアムにある「アトリエ ディック・ブルーナ」をご紹介したいと思います。

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ミッフィーの故郷を見るのが目的で日本からオランダまで来る人もいるほど、日本人にも根強い人気があるミッフィー。こちらは、ミッフィー・ファンの巡礼地、ユトレヒトにあるミッフィー・ミュージアムです。この真向かいにセントラルミュージアムがあり、ブルーナさんのアトリエの再現を見ることが出来ます。

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アトリエにはブルーナさんの初期の作品も展示してあり、彼がどのような経過を辿りミッフィーデザインにたどり着いたのか、ということが学べます。写真の左上はパリに住んでいた頃のスケッチで、あのシンプルなミッフィーの作者の作品とは思えないぐらい精密な画(!)。そして、右側の絵にはブルーナさんが多大なインスピレーションを受けたマティスの影響が伺えます。

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グラフィックデザイナーだったブルーナさんは、ミッフィーの絵本を出す前は、色々な文庫本の装丁を手がけていて、イアン・フレミングの「ジェームス・ボンド」シリーズやジョージ・シメノンのスリラー小説などの背表紙のデザインもしていたそうです。

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そして、ブルーナさんが実際にミッフィーを描いている様子もビデオで見られます。ここで注目なのが、作者がどのように一本の線を描いているかということです。線一つを描くのにまずトレーシングペーパーを使って下書きをし、それを紙の上に置いて跡をつけ、その跡を筆で点を繋ぐようにして線にしているのです。したがって、一本の線を描くのに0.1ミリ単位で細心の注意を払って作業しているので膨大な時間がかかっていることが伺えます。これは、ブルーナさん曰く、「心臓の鼓動」のよう小さく震える線で、この手書きの線によってミッフィーがシンプルながらも生き生きしたエネルギーを発しているように感じられるのです。ブルーナさんは生涯にわたり、アシスタントも雇わずにストーリー作りやイラストの仕上げまで全て自分一人でやった「こだわりの職人」だったのです。

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これはブルーナさんが愛用していたソファー。仕事の合間の一息に座ったのでしょうか、とっても気持ち良さそうですね。

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ミュージアムのグッズコーナーもなかなか充実しています。「かわいい!」の連発でついつい一杯買ってしまいそう。。

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日本のファンのためにも色々なデザインをしてくれたブルーナさん、、、

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(c) Mercis bv

東日本大震災では、大粒の涙を流すミッフィーのイラストを日本の子供達に贈りました。一緒に涙を流して共感し寄り添いつつも、「愛する人との別れは悲しいことです。でも『あなたの人生はこれからも続いていくんだよ』」と励ましたかったとのこと。

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写真中央がブルーナさん。いつも穏やかで温かい笑顔が印象的なアーティストでした。沢山の素敵な作品をどうもありがとうございました。これからもミッフィーは世界中の子供達に笑顔を与え続けるでしょう。

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親松恵子

自由の国オランダに魅せられ移住して、気がつけば18年。 現在は、フリーで執筆、翻訳、現地ガイド、各種コーディネーション等、何でもやっています。傍ら自分のアート活動も楽しんでいます。

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