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ポーランドの夏の飲み物といえばコレ!
気温30℃を超える日が続くポーランド南西部、人々は短い夏の日差しを楽しもうとここぞとばかりに外に出て日光浴を楽しんでいます。自宅の庭で裸同然の格好にサングラス、ジュースやビールを片手にのーんびり、という光景があちこちで見られます。
ちなみにポーランドでは健康的に日焼けした肌が魅力的とされていて、街中にはここ十数年で日本ではめっきり見なくなった"日焼けサロン"が点在し、利用者もそれなりに多いようです。
さて、前回の記事では夏ならではの食べ物をご紹介しましたが、今回は夏の飲み物をみてみましょう。
夏といえばやっぱりビール!これはポーランドでも同じです。Grill(バーベキュー)にもビールは欠かせません。スーパーマーケットに行けば本当にたく さんの種類があり、選ぶのに迷ってしまうほどです。ビールの苦味が苦手、という人にはクランベリーやストロベリーシロップを入れたビールが人気です。とはいえ、ビールは一年中飲める飲み物。"夏ならではの飲み物"といえば、新鮮な果物を使ったジュース、果実酒があげられると思います。
日本のようにスーパーで新鮮な果物が一年中いつでも手に入るわけではなく、旬の時期に一気に出回って、あっという間に見かけなくなるので 「それぞれの旬に思いっきり楽しむ」のがポーランドの常識です。いちご、チェリー、ラズベリーにすももと今の時期から秋口にかけてが新鮮な果物が楽しめる 貴重な季節、市場では数キロまとめ買いをする人々の姿が見られます。これからの時期はいちごが旬、我が家でも隣村のいちご農家まで直接出向いて、20キロほど一気に仕入れるのが毎年の恒例になっています。
市場ではこんなふうにかご入りで買うことができます。これで2キロ、12ズウォティ(日本円約360円)。日本のいちごより小粒で酸味が強く、野性的な味がします。
このいちごを使って作るポーランドの人々が大好きな飲み物はkompot(コンポト)にkoktajl(コクテイル)です。
ompot(コンポト)は果物を砂糖水で煮た素朴な味のジュース。いちご以外にも、桃やりんご、ちょっと変わったところではかぼちゃのコンポトなんていうのもあります。ポーランドの食堂にいくと必ずと言っていいほどおいてある飲み物です。
koktajl(コクテイル)はたっぷりの果物とマシランカという飲むヨーグルトのような乳製品、そしてバニラシュガーをミキサーにかけて作ります。
どちらも冷凍保存した果物でも作れますが、やっぱり市場で買ってきてすぐの新鮮なもので作るのが一番です。
そしてもうひとつ、果実酒ナレフカ(nalewka)もはずせません。果物をアルコール度数96パーセント(!)のスピリタスや、ポーランドの国民酒・ ウォッカと氷砂糖で漬けて作ります。日本で果実酒といえば梅酒、カリン酒などが一般的ですが、ポーランドには果実酒専門店があるほどたくさんの種類があり ます。なかでもいちご、ラズベリー、チェリーなどの夏に出回るベリー類の果実酒が家庭でも手ごろに作れて人気です。漬けこんでから早いものはひと月、長い ものは3ヶ月くらいで飲みごろになります。
"Nalewka trskawkowa"いちごナレフカ
"Nalewka "チェリーナレフカ
このふたつ以外に私が毎年漬けているのは庭にある胡桃を使ったナレフカ、"Nalwka orzechowa"。
まだ青くてやわらかい初夏の胡桃の実と葉をレモンの皮とシナモンスティックとともに漬け込みます。
漬けこんでから3ヶ月後、緑がかった墨色になったら飲みごろです。なんだかギョッとしてしまう見た目ですが、苦味の中にも清涼感のある口当たりで、意外と飲みやすいのです。胃の調子の悪い時に飲むとスッキリとするということで、薬のような役割を果たす果実酒です。
夏はビールや旬の果物で作ったフレッシュなジュースを思う存分堪能し、冬の間は夏に漬けたナレフカを、来年の夏を待ちながらちびりちびりと楽しむ、それがポーランド人流の一年の飲み物とのつきあいかたです。今年もそろそろ市場にいちごが出回る時期です。旬の味を目一杯楽しみたいと思います。
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ogrod
- 2010年秋よりポーランド南西部在住。小さな田舎町でポーランド人家族とのんびり暮しつつ、日本とはずいぶん違うポーランドの文化、料理、言葉、人々の暮らしをマイペースで勉強中。