世界の中のポーランド人
「日本人は世界中のどこにでもいる」とはよく言われる言葉ですが、
実は奇遇なことに、ポーランドにも、これとよく似た言い回しがあるんです。
ポーランド人はどこにでもいる−
ポラツィ・フシェンジェ・ソン−Polacy Wsiedzie Sa
ポーランド人というのはヨーロッパ人の中でもかなり人口の多い民族で、
ポーランド国内に約3700万人、そして国外にもおよそ1000万人がいるといわれています。
ポーランドは、その不幸な歴史から、過去数世紀にわたり、沢山の海外移民を排出してきました。
19世紀から20世紀初頭にかけて、アメリカ、カナダや南米などに渡った移民、
そして20世紀初頭から第二次世界大戦前後にかけては、ロシアによる共産主義政策の影響で、
ロシアのシベリア地方や極東地方、カザフスタンなどに大勢の人が強制移住させられました。
彼らの子孫はすでに三世・四世になっており、大部分の人が、現在もそのまま移住先の国で生活しています。
これらのポーランド人移民は、移住先でポーランド人街を結成し、
今でもポーランド人だけで固まって生活している人が多いようです。
とくにアメリカのシカゴは、世界でワルシャワについで二番目に大きいポーランド人の町といわれ、
現在でもまったく英語を使わずにポーランド語だけでも生活が可能なほどだそうです。
そして21世紀に入り、今ポーランドでは、ひときわ大きな移民の波がおきています。
2004年5月のポーランドEU加盟と前後しての、他のEU加盟諸国への労働移民です。
ポーランドと西ヨーロッパ諸国では、賃金に5−10倍の開きがあるといわれています。
そのため2004年5月のポーランドEU加盟以来、若者を中心に100万人以上のポーランド人が、
出稼ぎのために賃金のよい西ヨーロッパやスカンジナヴィア諸国に移住しました。
医者・看護婦・教師などのインテリから、配管工・土木作業員まで、
実に多くのバックグラウンドを持つ人が、こぞって国を後にしたのです。
その結果、イギリス、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークなど、
賃金がよい西欧・北欧の国々には、現在大勢のポーランド人が出稼ぎ労働者として働いています。
いまや西ヨーロッパではポーランド人労働者の姿を見かけない国はありません。
とくに言語の習得が簡単で賃金もよいイギリスでは、約100万人ものポーランド人が暮らしており、
イギリス史上類を見ない数のマイノリティ集団を形成しているそうです。
あまりのポーランド人の数にイギリス人もびっくり。
「イギリス人の仕事が奪われる」と危機感を持つ一方で、
ポーランド語を習い始めるなどポーランドに興味を持つ人もでてきているそうです。
あまりのポーランド人の多さに、道路標識にポーランド語表記を追加した自治体も現れました。
またスコットランドでは、これら移住ポーランド人が選挙権を持つことから、
独立推進派がポーランド人へのスコットランド政治への参政をよびかけ、
スコットランド独立への支持を取り付けるために、ポーランド語での政治新聞を出す動きもあるそうです。
一方で、歴史的にポーランド人の多くは異民族・異人種になれていないため、
イギリスなどほかの移民も多く他民族・他人種国家となっている国では、
ポーランド人の子供が学校で有色人種の子供と一緒のロッカーやハンガーを使うのを嫌がったり、
親までもが、学校を選ぶ際に有色人種の子供はいるのかと質問したりと、
一部で社会問題化しているそうです。
このように、EU加盟以降ヨーロッパ中に散らばっているポーランド人移民は、
移住先の各国で各方面に少なくない影響を与えています。
ところで世界中どこに住んでいても、そして祖国を離れて何十年が経とうとも、
ポーランド人が、誕生日や名前の日(Name Day)などの祝い事の日に必ず歌う、
「Sto lat / ストラト(百歳)」という歌があります。
♪ Sto lat, sto lat, niech zyje zyje nam!
ストー ラト、ストー ラト、ニェフ ジイェ ジイェ ナム
百歳まで生きますように♪
もし旅先でポーランド人に出会ったら、この「Sto Lat」の歌を歌ってみましょう。
「どうしてその歌を知っているの??」と満面の笑顔で喜んでもらえるはずです。
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現地記者:ヴァシレフスカ・サチコ
2003年東京大学大学院終了 生命科学修士
同年4月ポーランド人の夫と結婚、ポーランドに移住
ポーランドにてフリーライターとして活躍
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