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2007年05月09日
カテゴリー:北米・中南米 | アメリカ

テネメント博物館

移民の街ニューヨークは昔から世界中の人々を受け入れてきた。移民達は各々独自のコミュニティを作り、自国の文化や言語を守りながら生活してきた。ニューヨークは今でも区域によってはっきり人種が分かれている、全米でもめずらしい街といえるのではないだろうか?

19世紀後半に東ヨーロッパ系移民が多く移り住んだロウアー・イースト・サイドは、今でもテネメントと呼ばれる建物から彼らの生活の名残をみることができる。テネメントとは長屋形式の貧困層向けの共同住宅で、家の中は極めてせまく、当時電気もないため廊下や階段は真っ暗で、日当たりも悪く換気もほぼできないような、現在では考えられないような住居である。しかし貧しい移民達は厳しい住環境及び労働環境の中、ここで肩を寄せあって暮らしていた。

そんなニューヨークの移民の歴史についてもっと知りたい、という人にはぜひロウアー・イーストサイドにあるテネメント博物館をおすすめしたい。テネメント博物館とは、当時の劣悪な住環境をそのまま再現したテネメントを博物館にしたもので、当時の移民達の生活模様をリアルに再現したツアーである。

ツアー所要時間は約1時間。博物館の中は個人で勝手に入ることはできず、Educatorと呼ばれる案内人のガイドのもとでのみ入館が可能だ。ツアーは3,4種類あり、30分間隔で開催されている。定員15名となっているので、満員になった場合は次の時間まで待たなければならない。今回私は衣料産業に従事した移民の家族のツアーに参加することにした。

ツアーの申込は博物館の向かいにあるビジター・センターで。インターネットで事前にチケット購入も可能だが、時間に余裕があれば当日ビジターセンターで買っても問題はないだろう。ビジター・センターの中には無料で見れるビデオも上映しており、待っている間も退屈しない。また、アメリカでは珍しく、コインロッカーも用意されているので荷物が多い人はここで預けておくといいだろう。

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博物館入口でガイドさんよりツアーに関する注意事項が説明される。非常に古い建物であり、展示品も昔のままなので触らないように、とのこと。博物館内は写真撮影も禁止だ。一連の説明を聞いた後、いよいよ中に入る。

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壁紙も半分以上剥がれ落ちた狭い部屋。ひずんで斜めになっている床。こもった空気。3畳ほどのリビング。トイレもシャワーもない。ほんとに今の生活では考えられないような生活をしていたんだな、と考えさせられる。当時の移民の多くは衣服の縫製などの衣料産業に従事しており、sweatshopと呼ばれるタコ部屋状態の建物の中で長時間の重労働を強いられていた。部屋の中には当時使われていた裁縫道具やミシン、アイロンなどが展示されており、当時の過酷な労働環境がリアルに表現されていた。皮肉にも、彼ら移民の貢献によりアメリカの服飾産業は発展していったのである。

ロウアー・イースト・サイドには今もPre-war Buildingと呼ばれる、戦前に建てられたアパートやテネメントが多く存在する。ニューヨークの発展を影ながら支えてきた移民達の歴史を、ぜひこの博物館で体感してほしい。

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現地記者:Yoshiko A.
アメリカ在住通算13年。LAの大学留学を経て、現在は大手メーカーの
スポーツウェア部門でコーディネーター、及び通訳として勤務中。
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