ペナン
久しぶりにペナン出張だった。今はこれをペナンの空港で書いている。
空港はリニューアルされて6年くらい経つだろうか。以前は国際空港だったのにも関
わらず地方のひなびた空港という感じだったのが、広くはないもののスタイリッシュ
になった。地方の空港にありがちな、産地特産物の匂いもなかったりする。ちょっと
無機質な感じの空港。
ペナン島へはクアラ・ルンプール(KL)から車で4時間強。空路なら飛行時間45
分くらい。飛行場への移動(約1時間)、待ち時間を考えると、車で行くか飛行機で
行くか迷う微妙な距離だ。
今回は空路で移動。乾季に入ったマレー半島の日中は暑い。KLIAで飛行機に乗っ
てから発つまで飛行機の中が暑くてたまらなかった。おかげで飛立つ前、既にペナン
に着いたかと思うくらい熟睡してしまった。
暑い中で眠ると、びっくりするくらい熟睡が出来る事があるのは私だけだろうか。
熱帯の昼寝は少し動く風があると、ダラダラ感がたまらなくいい。
前回ペナンへ来た時は日帰り出張で、それ以前も殆ど仕事なのでペナン島の中心地
ジョージ・タウンに泊まることが多かったが、今回は出張なのにリゾート・エリア
のバトゥ・フェリンギ・ビーチにあるリゾート・ホテルに宿泊。単純にそのホテル
で会議があったからということなんだが・・・。
ペナン島は昔から『東洋の真珠』などと呼ばれ、マレーシアの代表的なリゾート観
光地。けれど今の時期は日本人の観光客は少ない気がする。バトゥ・フェリンギは
白人ばかりで、ホテルのプールサイドでも朝から体を焼いている。「そんなに赤く
なって大丈夫だろうか」、「日本人はこんな時間そんな所で寝そべったりしないよ」
などと思うが、彼らはヒタスラのんびり本を読んだり、おしゃべりをしたり、眠っ
たり、ずっと太陽の下にいる。本当にリラックスしているのは分かるのだが・・・。
日本人のこの時間帯の過ごし方は、島の観光あるいはSPAやエステなのだろう。
彼らの休暇の過ごし方と日本人のそれは違うな、といつも思う。
(注:海はあまりきれいじゃないので海水浴は勧めない。しかしパラセーリング、
ジェットスキー、ウィンド・サーフィンなどのアクティビティもある。)
そして私は、ホテルから見える海を見て贅沢な気分になる一方、観光客目当ての
リゾート値段の夜店やレストランがこの辺は連立しているのが、なんとなく納得
がいかず(苦笑)、複雑な感覚になる。別にケチで言っているのではなく、
「僻地ではないのに・・・」と、思ってしまうのだ。
最もKLのチャイナ・タウンの中華料理屋へ地元の人が行かないように、
ペナンっ子はそういう所には行かないんだろうが。
ペナン島の半島側に面している島半分は観光地、繁華街などが固まり、反対側
(マラッカ海峡側)は住宅地が固まっている。そしてこの島はアジア経済危機
(97年)が起こる少し前からかなり変貌を遂げている。
ペナン州はマレー半島と島にまたがり、島はリゾートで有名なのは承知の通りだ
が、ペナン州はマレーシアの中でもトップレベルの工業地帯でもある。特に半島
側には日系の大手企業を始めグローバルIT企業の工場が並ぶ。これらの工場に
伴い労働力、駐在員も増えたはずだ。経済危機の時期にどの企業も人員を縮小し、
それ以前の経済成長の勢いは失墜したが、ペナン島には大きなショッピングセン
ター、新しいホテル、セカンド・ホーム・プログラム(退職者などを対象にした
ロングステイのプログラム)や駐在員を意識した、いかにもリゾートなコンド・
ミニアムが凄い勢いで建ってしまった。(今は新たに造っている物は少ない。)
島の中にはイギリス植民地時代からの古い洋館がいくつかあり(現在ミリオネア
・ロードと地元では呼ばれている)、大きな太い木が並木をなし、高い建物もそ
んなに無く、島に来るとタイム・トリップしたような不思議な感じがしたものだ
った。
しかし、並木道は殆どなくなり、ジョージ・タウンの道は車の数が増えたので殆
ど一方通行になり、ハイウェイも走り、今はちょっと違うのが寂しい。昔ながら
のオールド・タウンや寺なども存在はするが、新しい波と古い波がゴチャゴチャ
に混ざったこの島は、自身が混乱しているんじゃないかと思ったりもする。
とは言え、州も観光客がどんな物を欲しているのかは理解しており、コロニア時
代の雰囲気を大切に古い建物も壊さないような努力はしている。古い洋館の雰囲
気をそのままにレストランになっている所もある。なんだかんだ言っても、日本
と比べれば物価は安いし、食べ物も美味しいし、行く場所で印象が変わるそんな
エキゾチックな所なのだ。
KLとは明らかに違う空気、沈む夕日を見ると、色々な想いはあるが、「細かい
事は気にするな、非日常を楽しんでしまえ。たまの贅沢もいいじゃないか。」
と思う。やはりここはリゾートなんのだ。
同じアジアのリゾート、プーケット、バリ、ランカウィなどとは全く違うリゾート、
おもちゃ箱をひっくり返したようなこの島は、アジアのトップ・リゾート地の地位
を保持し続けるのだろう。

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現地記者:宮下クミコ
1990年に渡航。
数年後個人事務所を設立。現在に至る。撮影や取材・リサーチなど
マスコミ系のコーディネーターが主な仕事だが、
他にコンサルや通訳翻訳もやっている
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